2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540393
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
秋葉 誠 独立行政法人情報通信研究機構, 新世代ネットワーク研究センター量子ICTグループ, 主任研究員 (80184109)
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Keywords | アバランシェフォトダイオード / 高光検出効率 / 低雑音読み出し回路 / 低暗計数 |
Research Abstract |
本年度は、化合物半導体を使い線型増倍層付APDの設計・製作・測定を行い、45倍の増倍率と0.1電子/秒以下の低暗計数化が可能であることを示した。これまでの我々のSi APDの測定により、暗計数が0.1電子/秒以下になると、極めて長い時定数をもつ暗計数が存在することが分かっていた。化合物半導体でもこの暗計数が問題となることが予想されたため詳しい調査を行った。その結果、この暗計数の存在は、APD内の不純物順位にトラップされた電子が高電界強度によってその放射時定数が変化するいわゆるフォノンアシステッドトンネリングに起因していることが分かった。この問題はAPDを熱処理することでも解決できるが、より本質的にはAPDの電界強度を変化させず一定にすることで解決できる。そのため、化合物半導体APDの接合部をpn接合ではなくpin接合にし増倍層(i層)の電界強度を一定にした。試作したAPDはInAlAs/InGaAsとAlGaAs/GaAsであり、それぞれ異なる結晶の界面でポテンシャルの段差を作り、線型増倍層を形成することができる。試作品を測定した結果、Al_<0.9>Ga_<0.1>As/GaAs(それぞれのi層の厚さ40nm/40nm)において、増倍率1倍の領域では暗計数として0.02電子/秒以下を達成し化合物半導体としては我々の知る限りでは世界最小値を実現した。増倍率は45倍を達成したが、高増倍率になると暗電流が増大しそのショット雑音により線型増倍の確認を行うことができなかった。この暗電流はその温度特性からバンド間トンネリングによるものであることが分かり、電界強度と増倍層の厚さを調整することにより十分に減少させることができることが分かった。
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