2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540396
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
大政 義典 Hiroshima Institute of Technology, 工学部, 准教授 (30301229)
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Keywords | 界面のダイナミクス / 表面張力波 / 分散関係 / イオン液体 / 2液相分離系 / 表面局在モード / バルク・シアモード |
Research Abstract |
本研究では、臨界点を持つ2液相分離系やイオン液体系をはじめとする、大きな揺らぎを持つ流体系での界面のダイナミクスを、特にイオン液体に力点をおいて研究している。具体的には、流体間の界面に生じる表面張力波(リプロン)を動的光散乱法により検出し、その分散関係、すなわち振動数及び減衰定数を波数の関数として求める。 平成20年度は、単体のイオン液体のアニオン・カチオンの種類を系統的に変えることにより、そのドメイン形成能と表面張力・粘性係数との関係を調べ、ドメイン構造の安定性にvan der Waals力が重要な役割を果たしていることを明らかにした。 さらに平成21年度は、粘弾性緩和を示すようなより複雑な液体について、その表面波スペクトルを実験的および理論的に調べた。液体の粘弾性緩和時間が表面波の周期に近い場合には、表面張力波と表面弾性波とのクロスオーバーや、複数のピークの出現などの現象が見られるが、それぞれのピークの物理的な意味などは今まで必ずしも明らかではなかった。我々は、これらの複雑なスペクトルが様々なモードの和に分解できること、さらにこれらは表面局在モードおよびバルク・シアモードと解釈することができること、を理論的に示すことに成功した(日本物理学会で発表(2010年3月)、現在論文準備中)。今後はこの理論をもとに様々な揺らぎの大きな流体系界面のダイナミクスについて、解析を進めてゆく予定である。
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