2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロビームX線回折法によるエマルション中のソフトマターの結晶化解析
Project/Area Number |
20540397
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上野 聡 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (50243605)
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Keywords | マイクロビーム / 放射光 / X線回折法 / スキャンニング / 結晶化 / エマルション / ファットスプレッド / 油脂 |
Research Abstract |
ソフトマターとして、昨年の続き(O/Wエマルション、ファットスプレッド)および、今年度新規の試料として、乳脂肪、油脂二成分混合系(POP/OPO)を選びマイクロビームX線を用いたスキャンニング法によるX線回折測定により、以下の知見を得た。 (1)昨年得られたO/Wエマルションの油滴内に存在する植物ステロールの結晶をさらに測定を繰り返し、詳細に解析した結果、植物ステロールの結晶には主として二種類の多形の存在(一水和物および二水和物)が確認された。これらは、それぞれの測定条件下で最安定多形であることがその後の測定で明らかとなった。現在、これらの多形とエマルション油滴中の結晶出現の関係を調査中である。 (2)乳脂肪を結晶化させ、乳脂肪の成分を分離するために、高融点成分の結晶化の特徴を調べた。高融点成分を平面上に結晶化させると球晶が得られた。この球晶の多形は準安定多形であった。この準安定多形の球晶の微細構造をマイクロビームX線回折法により調べると、他の油脂結晶と同様に、中心ではラメラ面がランダムに配向し、周囲では中心から放射状にラメラ面が並んだ構造を取っていることが明らかとなった。 (3)ファットスプレッドについては、昨年に引き続きファットスプレッドの粗大結晶の発生メカニズムの解明を調べた。昨年までに得られた知見である、粗大結晶の二層構造の形成メカニズムを調べた。その結果、粗大結晶の形成には、PPPのみならずSSSの存在も重要であることが明らかとなった。また、粗大結晶の成長過程において、当初、POPの準安定多形と最安定多形が混在していたものが、時間経過とともに周囲にPOPの最安定多形が発現することが明らかとなった。
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Research Products
(20 results)