2009 Fiscal Year Annual Research Report
今まで見落とされがちだった圧力解放過程に着目した,火山爆発室内模擬実験
Project/Area Number |
20540403
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 章夫 Tohoku University, 東北アジア研究センター, 助教 (80312685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大林 茂 流体科学研究所, 教授 (80183028)
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Keywords | 火山 / 噴火 / 空振 |
Research Abstract |
本研究では,噴火模擬実験の実施や結果の理論的解釈,さらに噴火観測データとの比較を通して,圧力解放過程と結果として生じる諸現象の関係を明らかにし,その火山現象解釈への利用を目的としている. 2年目となる本年度は,それまでの砂を吹き飛ばすことで噴火を模擬する実験の不足を補うとともに,粘性流体表面で気泡を破裂させる実験装置を製作した.また実験と並ぶもう一つの柱である,火山噴火の映像と空振の同時観測を行った. このうち火山観測は,ニューメキシコ工科大学のJeffrey Johnson博士と共同で,チリのVillaricca火山において,火口上に渡したワイヤーにビデオカメラを吊し,火口底にある溶岩湖の活動を撮影し,同時に火口縁及び山麓で空振を記録した.ビデオカメラには溶岩が沸騰するように激しく沸き立つ様子や,時折溶岩が飛び散る様子が記録された.一方空振観測では,周期約1秒ほどの極めて安定した波形が捉えられた.当初は溶岩湖で気泡が破裂することによる空振を期待していたが,これまでビデオと空振を比較した限りでは両者の明瞭な関係は見いだされていない.そのことから,周期1秒ほどの空振は,ある種の共鳴で発生していると推測される.その仮定の下に,ビデオ画像から推定した火口底の大きさと周波数とから,火口形状の見積もりを行った.しかしビデオで火口底の大きさの変化が確認されたにもかかわらず,それに対応する周波数変化が見られない,また振幅が小さくなる際に短周期の振動が重なることが説明できないなど,解決しなければならない問題もまだ残っている.
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