2010 Fiscal Year Annual Research Report
今まで見落とされがちだった圧力解放過程に着目した,火山爆発室内模擬実験
Project/Area Number |
20540403
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 章夫 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教 (80312685)
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Keywords | 火山 / 噴火 / 空振 |
Research Abstract |
本研究は,噴火模擬実験の実施と,噴火観測データとの比較を通して,圧力解放過程と結果として生じる諸現象の関係を明らかにし,その火山現象解釈への利用を目的としている. 最終年度となる本年度は,火山観測により新たなデータを得るとともに,これまでに得たデータの解釈を計画していた.そのためにハワイ島・キラウエア火山と霧島新燃岳で映像と空振の同時観測を試みたものの,前者は火山ガス濃度が高く火口近傍での観測が行えず,また後者では観測期間中に爆発的噴火が起こらず,ともにデータ取得に至らなかった. 一方,平成21年度にチリのVillarricca火山で行った観測では,カメラを火口上に吊し,溶岩湖表面で気泡が破裂する様子をビデオ撮影したが,同時に記録した空気振動には,それに伴うと思われる明瞭な信号は検出されなかった一方で,周期約1秒ほどの極めて安定した波形が捉えられていた.この空振に対してはほかの研究者が,マグマ中を上昇する気泡によりマグマ内に周期的な対流が生じ,それが空振を励起するという定性的なモデルを,工学分野の実験結果に基づき提案していた.しかし我々は,溶岩湖とその上に形成された穴のある天井の間にある空洞が起こすヘルムホルツ共鳴が空振源と考え,その周波数から空洞の大きさを見積もった.映像には,天井に開いた穴の縁から溶岩片が溶岩湖に落下する様子が捉えられており,その落下時間をもとに空洞の高さを別途求めた.異なる二つの方法で求められた空洞の大きさはよく一致し,このことから,Villarrica火山の空振がヘルムホルツ共鳴で発生していることが裏付けられた.
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Research Products
(2 results)