2008 Fiscal Year Annual Research Report
アスペリティの動的破壊過程と短周期地震波発生に関する研究
Project/Area Number |
20540407
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 尚之 The University of Tokyo, 地震研究所, 准教授 (60224523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮武 隆 東京大学, 地震研究所, 准教授 (60126183)
中原 恒 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20302078)
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Keywords | アスペリティ / 短周期地震波 / シミュレーション / エンベロープ / 応力集中 |
Research Abstract |
アスペリティ内の応力や摩擦特性の不均一分布がアスペリティの破壊過程に及ぼす影響を準動的シミュレーションにより調べ,次の結果を得た.(1)地震聞にほぼ完全に固着しているアスペリティの内部では地震時のすべり量はほぼ一様になる.アスペリティ内に有効法線応力の不均一性があっても,この結果は変わらないが,有効法線応力の不均一性は破壊強度の不均一性をもたらすので,破壊伝播過程を複雑にし,短周期地震発生域が不均一になる可能性がある.(2)アスペリティの内部にすべり速度強化の領域が存在する場合,ここに顕著な地震聞のすべり遅れがあれば,ここでも地震性すべりが発生する.すべり速度強化の領域は破壊伝播を減速させるので,その存在により破壊伝播過程が複雑になり,高速すべり発生域の分布を不均一にする可能性がある.また,どのような断層上の運動がどのように短周期堆震波生成に寄与するのかについて考察した。短周期源として,従来考えられているのは,2つある.1つは断層運動の揺らぎであり,これは断層パラメータの空間的ゆらぎに依って生じるものである.もう1つは,断層端で生じるStopping phaseである.揺らぎの影響について理論的に研究し,パラメータの中でも破壊伝播速度の揺らぎが効率よく短周期地震波を生成することを物理的に明解に示した.短周期の地震波放射特性の空間分布を調べるエンベロープ・インバージョン法については,発展の経緯とこれまでに分かってきたごとを主眼にレビューを行った.その作業を通しで,短周期地震波エネルギーに関して,スケーリング則,周期依存性,地域依存性を発見した.また,2008年岩手・宮城内陸地震の近地強震動記録を収集した.震源域周辺の散乱パラメータを推定する解析を行い,エンベロープ・インバージョン解析に着手した.
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Research Products
(4 results)