2008 Fiscal Year Annual Research Report
短周期常時微動の自己相関関数による地殻内散乱構造の研究
Project/Area Number |
20540409
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古本 宗充 Nagoya University, 環境学研究科, 教授 (80109264)
|
Keywords | 地震 / 地球・惑星内部構造 / 固体地球物理学 / 散乱 / 地殻・マントル物質 |
Research Abstract |
本年度は手法の開発とその妥当性を明らかにするため,主に伊豆大島に展開された十数点の地震観測点の記録を解析した.2008年8月の1ヶ月間の連続記録波形を利用して,各観測点での背景ノイズとしての雑微動の自己相関関数を計算した.そして得られた自己相関関数から出発して,擬似的なコーダ波形が得られることを確認できた。これらの解析により,本手法が散乱波解析において新たな解析法であることが分かった。その一方で当初予想していなかった問題点もいくつか見つかった。 それらは(1)実体波成分と表面波成分の分離が難しいこと,(2)1ヶ月の記録の解析では、自己相関関数の中にまだ雑微動の固有波形が残っている可能性があること,そして(3)通常の観測では問題にならないくらい微小な信号であるが,計測システムに人工的な電気ノイズが混入しておりコーダ波推定の支障となる場合があること、などである. こうした問題はあるものの,自己相関関数から得られた疑似コーダ波形に通常のコーダQを推定する解析法を適用することで,ゴーダQを推定することができた。ただし,いくつかの観測点においてはコーダ波が実体波から構成されているとは言えず,表面波である可能性が分かった.また上で述べた(2)の原因により得られたコーダQの値にバイアスがあることが予想される.なおこうした問題点を解決する方法も検討した. 問題点を残しているので暫定的ではあるが,コーダQの値は観測点毎に差があり,空間的な地下構造の変化を表していると考えられる結果となった。地震のコーダ波を利用しないで,雑微動から地下の散乱構造を推定することができることが示された。
|
Research Products
(1 results)