2008 Fiscal Year Annual Research Report
カルデラ噴火機構とマグマ溜まりの発泡プロセスに関する研究
Project/Area Number |
20540415
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 元治 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地質情報研究部門, 主任研究員 (20357057)
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Keywords | カルデラ / 噴火 / 水 / マグマ溜まり / メルト包有物 / 二次イオン質量分析 / 揮発性成分 / 発泡 |
Research Abstract |
今年度は、後期第四紀に起きた巨大カルデラ噴火のうち、鬼界葛原噴火(95000年前)、鬼界アカホヤ噴火(7300年前)の2つを研究対象とし、各マグマ溜まり内のメルトの揮発性成分(水,二酸化炭素,硫黄)および主成分元素の濃度を決定し、揮発性成分の濃集・発泡プロセスを検討した。 1.各噴火メルト包有物(鬼界葛原は17個、鬼界アカホヤは55個)の主成分元素および硫黄の濃度を電子線マイクロアナライザーで測定した。その結果、鬼界葛原メルト包有物は全て流紋岩質でほぼ同じ組成、低硫黄濃度を持つが、鬼界アカホヤメルト包有物は幅広い化学組成(デイサイト質〜流紋岩質)と硫黄濃度を持つことが明らかになった。 2.火山岩粉末試料に試薬を適宜加え、内熱式ガス圧装置を用いてメルト包有物の二次イオン質量分析計(SIMS)測定に用いるガラス試料を作成した。この水および二酸化炭素濃度を顕微赤外分光光度計で決定し、SIMS測定のための標準ガラス試料とした。この標準ガラス試料を用いて、最適のSIMS測定条件を決定し、検量線を作成した。ガラス試料の作成方法およびSIMS測定条件について国際学会で発表した。 3.SIMSでメルト包有物の水および二酸化炭素の濃度を測定した。鬼界葛原および鬼界アカホヤ噴火のメルト包有物はともに水濃度が大きく変動(1-6重量パーセント)していることが明らかになった。 4.メルト包有物分析結果を元に、各噴火マグマ溜まりの揮発性成分の濃集・発泡プロセスを考察した。鬼界葛原メルト包有物は揮発性成分のみに大きな濃度変動があり、マグマ溜まりでマグマの発泡が圧力低下によって起きていると考えられる。鬼界アカホヤメルト包有物の水および硫黄濃度の変動は主成分元素濃度と相関かおり、マグマ溜まり内の揮発性成分の濃集にマグマの分化が関与している可能性を示唆する。
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Research Products
(1 results)