2009 Fiscal Year Annual Research Report
カルデラ噴火機構とマグマ溜まりの発泡プロセスに関する研究
Project/Area Number |
20540415
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 元治 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地質情報研究部門, 主任研究員 (20357057)
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Keywords | カルデラ / 噴火 / マグマ溜まり / 揮発性成分 / 発泡 / 火山 / メルト包有物 / 二次イオン質量分析 |
Research Abstract |
今年度は、後期第四紀に起きた4つの巨大カルデラ噴火(鬼界葛原、鬼界アカホヤ、姶良、阿多)を研究対象とし、各噴火試料の分析を進めると共に、鬼界アカホヤ噴火については、分析結果を元に、マグマ溜まりの分化と揮発性成分の濃集・発泡プロセスの考察を行った。 1.高圧実験によって作成した標準ガラス試料を用いて二次イオン質量分析(SIMS)の測定条件を検討し、水および二酸化炭素の検出感度は機器および試料の状態によって大きく変化することが判明した。この結果を元に、未知試料の定量分析には同日内に作成した検量線を用いることにしたところ、精度の高いメルト包有物の水および二酸化炭素濃度測定が可能となった。 2.鬼界葛原、鬼界アカホヤ、姶良、阿多カルデラ噴火試料(軽石等)について蛍光X線分析(XRF)による全岩化学分析を行い、各噴火マグマの主成分元素組成を決定した。また、各試料について、メルト包有物分析のための試料調整(岩石粉砕、鉱物分離等)を行った。 3.鬼界アカホヤ噴火試料(62個)の全岩化学組成を各試料の堆積状況(層準)とともに検討した結果、噴火の初期は流紋岩マグマのみが噴出し、噴火後期には流紋岩マグマとともに安山岩マグマが噴出していることが明らかになった。この結果は、噴火直前に、マグマ溜まりが、上部の流紋岩マグマと下部の安山岩マグマで構成されていたことを示唆する。 4.鬼界アカホヤ噴火メルト包有物(55個)の分析結果を元に、流紋岩マグマと安山岩マグマの揮発性成分の濃集・発泡プロセスを考察した。流紋岩マグマ溜まり上部では圧力低下によってマグマの発泡が起きていたこと、流紋岩マグマ溜まり下部と安山岩マグマ溜まりでは深部からガスの供給を受けていたと考えられる。この研究成果は、日本火山学会および米国地球物理学連合主催の学会で発表した。
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Research Products
(2 results)