2011 Fiscal Year Annual Research Report
カルデラ噴火機構とマグマ溜まりの発泡プロセスに関する研究
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20540415
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 元治 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (20357057)
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Keywords | カルデラ / 噴火 / マグマ溜まり / 揮発性成分 / 発泡 / 火山 / メルト包有物 / 二次イオン質量分析 |
Research Abstract |
2011年3月の東北地方太平洋沖地震によって本研究で使用する分析機器が破損したため、今年度はメルト包有物の機器分析ができなかった。 そこで、メルト包有物分析のための試料調整、二次イオン質量分析(SIMS)のための標準ガラス試料の作成、SIMS測定条件の検討等を行った。 1. 鬼界葛原、鬼界アカホヤ、姶良、阿多および阿蘇カルデラ噴火試料について、岩石粉砕と鉱物分離を実施し、メルト包有物を持つ鉱物を取り出した。鉱物を樹脂にマウントし、研磨を行い、メルト包有物を露出させた。これにより、各噴火メルト包有物のEPMAおよびSIMS分析の準備が整った。 2. 安山岩およびデイサイト組成の火山岩粉末試料に、炭酸イオンを含んだ水溶液を適当量加え、高圧実験容器である白金パイプ(径3-5mm、長さ30mm)に封入した。内熱式ガス圧装置を用いてこの試料を1300℃、196MPaで3時間加熱し、溶融後、急冷し、ガラス試料を作成した。この安山岩およびデイサイト組成のガラス試料について、顕微赤外分光光度計による水および二酸化炭素濃度測定を行うため、両面研磨片を作成した。このガラス試料は、阿多および阿蘇カルデラ噴火メルト包有物のSIMS分析時に、標準ガラス試料として使用する予定。 3. 水および二酸化炭素濃度を決定した標準ガラス試料を用いて、二次イオン質量分析(SIMS)による火山ガラスの水および二酸化炭素濃度測定の測定条件を検討した。 4. カルデラ噴火機構の比較検討のため、洞爺および支笏カルデラ噴火噴出物の地質調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震により、本研究で用いる、電子線マイクロアナライザー(EPMA)、顕微赤外分光光度計(FTIR)および二次イオン質量分析計(SIMS)が破損し、その修理に時間を要した。さらに、余震による被災を避けるため、EPMAとFTIRは5階から地震動の少ない1階へ移設した。これらの修理・移設作業により、分析機器によるメルト包有物の揮発性成分濃度測定は全くできなかった。 また、2011年1月に始まった霧島火山新燃岳噴火の緊急観測業務を行ったため、本研究を実施する時間が少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
メルト包有物の化学分析のための試料調整はすでに終了しているので、早急に分析機器を使用可能な状態に設定し、分析を実施する。
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Research Products
(2 results)