2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540418
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉山 慎 Hokkaido University, 低温科学研究所, 講師 (20421951)
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Keywords | 氷河 / 氷河湖 / 温暖化 / 数値モデル / 気候変動 / 国際研究者交流 / スイス |
Research Abstract |
1. 研究の概要 2008年7-9月、末端に形成された湖に起因した氷河変動を調べるため、スイス・ローヌ氷河にて熱水ドリルによる掘削、流動速度の測定、底面水圧の測定、氷河底堆積物のサンプリング、融解量測定、気象観測、氷河地形の測量などを行った。観測は研究代表者の他、北海道大学の大学院生3名、スイス連邦工科大学およびベルン大学の研究者と大学院生の協力によって実施した。 2. 主な成果 計24ヶ所で行った氷河底面までの掘削により、氷河末端付近の正確な氷厚分布が得られた。その結果、近い将来にローヌ氷河末端が湖水によって浮上し、崩壊する可能性が高いことが明らかになった。2007年と比較して増加した流動速度、2008年8月以降に観測された氷河表面の急上昇は、その予測を裏付けるものである。また流動速度の大半が底面流動によるものであり、氷底で採取された柔らかい堆積物がその流動原因である可能性が示唆された。流動速度は底面水圧の影響を受けて日変化しており、湖の拡大に伴って流動が促進されると予想される。観測地域における氷河表面高度は2007年と比較して数メートル低下しており、2000年以降氷河縮小が加速していることが確認された。これらの研究成果を、国際雪氷学会、日本雪氷学会にて発表するとともに、英文および和文専門誌に論文として公表した。 3. 研究成果の意義と重要性 本研究で得られた成果は(1)ローヌ氷河の変動予測に必要な知見を与え、(2)氷河湖の形成に起因した氷河後退メカニズムの理解を推し進めるものである。 4. 特記事項 2008年9月、国際南極大学(lnternational Antarctic Institute)のプログラムとして大学院野外実習をスイスにて実施し、8名の受講生がローヌ氷河において本研究活動に参加した。
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Research Products
(10 results)