2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540418
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉山 慎 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (20421951)
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Keywords | 氷河 / 氷河湖 / 温暖化 / 数値モデル / 気侯変動 / 国際研究者交流 / スイス |
Research Abstract |
1.研究内容 研究の最終年度となる2010年度は、過去2年間にローヌ氷河で取得した観測データを用いて、湖形成による氷河後退メカニズムの解明に取り組んだ。流動速度、底面水圧、氷庫、融解量、気象、底面堆積層庫などのデータを解析するとともに、有限要素法を用いた流動数値モデル、氷河融解モデルなどを用いた数値実験を行った。研究活動は、北海道大学環境科学院大学院生、およびスイス連邦工科大学の協力を得て実施された。 2.研究成果とその意義 解析の結果、湖の形成によって氷河末端付近の流動速度が上昇し、著しい氷厚減少の原因となっていることが判明した。さらに、縮小した氷河末端が湖水の浮力によって持ち上がり、大規模に崩壊する過程の詳細が明らかになった。これらの成果は、湖形成→流動加速→伸長流による氷厚減少→末端の崩壊、という氷河後退プロセスを初めて明らかに示したものである。本研究によって得られた氷厚分布とその変化速度を勘案すると、湖はおよそ25年後まで拡大を続け、その全長は600mに達すると推定された。また掘削孔を使った氷河内部および底面での観測(底面すべり速度・底面水圧・氷の鉛直歪み・底面堆積物の厚さ)は、氷河底が湖と氷河の相互作用に重要な役割を果たしていることを示した。この結果は、氷河底面流動機構の解明に大きく寄与するものである。 3.その他 得られた研究成果を国内外の学会にて発表した他、査読つき英文誌に公表した。また博士課程大学院生の学位論文としてまとめられた。2010年9月、5回目となる国際南極大学(Ihternational Antarctic Institute)プログラムの大学院野外実習をスイスにて実施し、10名の大学院生がローヌ氷河での研究活動に参加した。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Glaciological research project in Pataginia 2006-2009 : Studies at Glaciar Perito Moreno, Hielo Patago'nico Sur, in area of Hielo Patago'nico Norte and along the Pacific Coast2011
Author(s)
Aniya, M., P.Skvarca, S.Sugiyama, T.Aoki, T.Matsumoto, R.Anma, N.Naito, H.Enomoto, K.Hod, S.Marinsek, K.Konya, T.Nuimura, S.Tsutaki, K.Tone, G.Barcaza
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Journal Title
Bulletin of Glaciological Research
Volume: 30(in press)
Peer Reviewed
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[Presentation] Calving Glacier Dynamics Controlled by Small Fluctuations in Subglacial Water Pressure Revealed by Hot Water Drilling in Glaciar Perito Moreno, Patagonia2010
Author(s)
Sugiyama, S., P.Skvarca, N.Naito, H.Enomoto, S.Tsutaki, K.Tone, S.Marinsek, M.Aniya
Organizer
AGU Fall Meeting
Place of Presentation
San Francisco, USA
Year and Date
2010-12-13
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