2009 Fiscal Year Annual Research Report
南極沿岸域における海氷生産量とそれに伴う南極底層水流量の直接的評価
Project/Area Number |
20540419
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深町 康 Hokkaido University, 低温科学研究所, 助教 (20250508)
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Keywords | 南極海 / 南極底層水 / 海氷 / 係留観測 |
Research Abstract |
1.アメリー棚氷北西沖の大陸斜面域での係留観測データの解析 2009年1月の航海で回収した係留系による底層での流速、水温・塩分のデータと衛星データなどから見積られる沿岸ポリニヤにおける海氷生産量の比較を行った。その結果、係留観測データに見られる高密度の南極底層水の流出は、係留海域の南東に存在するケープダンレーポリニヤにおける海氷生産に起因しており、この海域が主要な南極底層水の生成域であることが示された。また、盛んな海氷生産量を反映して、高密度の南極底層水の層厚は、300m以上に達していることも明らかになった。 2.アメリー棚氷北西沖の陸棚上のポリニヤ域での係留系の設置 2010年2月に日本南極観測隊の砕氷船「しらせ」により、ケープダンレーポリニヤ内の2地点で、海氷の厚さおよび漂流速度、海洋流速、水温・塩分を計測する係留系の設置を行った。2011年2月に自分自身が日本南極観測隊に参加して、係留系の回収を実施する予定である。無事にデータが取得出来れば、南極沿岸のポリニヤでは、初めての詳細な氷厚データとなる。 3.ケルゲレン海台東側斜面域での赤道向き流出量の見積り 2003-05年にオーストラリア・南極海盆の西側境界ケルゲレン海台東側斜面域において、日豪共同で行った南極底層水の赤道向き流出量の係留観測の結果をまとめて、Nature Geoscienceに投稿し受理された。主な結果は、この海域における南極底層水の流出量は、南大洋におけるもう一つの主要な流出経路であるウェッデル海の北側海域でのものに匹敵し、南大洋のみならず、世界の海洋大循環において、重要な割合を占めていることが明らかになったことである。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] 新たに発見された南極底層水とそれに関わる海氷生産の直接観測-ケープダンレープロジェクト-2010
Author(s)
大島慶一郎, 深町康, 青木茂, 清水大輔, 田村岳史, 若土正曉, 北出裕二郎, 平野大輔, 牛尾収輝, 橋田元, 吉川久幸, 中岡慎一郎
Organizer
2010年度日本海洋学会春季大会
Place of Presentation
東京,東京海洋大学
Year and Date
2010-03-29
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[Presentation] 南極巨大沿岸ポリニヤにおける係留系等による海氷高精度観測2009
Author(s)
大島慶一郎, 牛尾収輝, 橋田元, 青木茂, 深町康, 豊田威信, 清水大輔, 二橋創平, 田村岳史, 小野数也, 榎本浩之, 舘山一孝
Organizer
南極観測シンポジウム
Place of Presentation
立川,国立極地研究所
Year and Date
2009-12-10
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[Presentation] 係留系による、未知の南極底層水と海氷生産量・厚さの直接観測2009
Author(s)
大島慶一郎, 深町康, 青木茂, 清水大輔, 田村岳史, 小野数也, 牛尾収輝, 橋田元, 吉川久幸, 北出裕二郎, 平野大輔
Organizer
南極観測シンポジウム
Place of Presentation
立川,国立極地研究所
Year and Date
2009-12-10
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[Presentation] ケープダンレープロジェクト-新たに発見された南極底層水とそれに関わる海氷生産の直接観測2009
Author(s)
大島慶一郎, 深町康, 青木茂, 清水大輔, 田村岳史, 北出裕二郎, 平野大輔, 牛尾収輝, 橋田元, 吉川久幸, 中岡慎一郎
Organizer
国立極地研究所第32回極域気水圏シンポジウム
Place of Presentation
立川,国立極地研究所
Year and Date
2009-11-17
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[Presentation] Direct observations of newly-found Antarctic Bottom Water and the associated sea-ice production-Cape Darnley Project-2009
Author(s)
Fukamachi, Y., Ohshima, K.I., Aoki, S., Simizu, D., Tamura, T., Kitade, Y., Hirano, D., Ushio, S., Hashida, C.
Organizer
ILTS International Symposium"Frontier of Low Temperature Science"
Place of Presentation
札幌,北海道大学
Year and Date
2009-11-09
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