2008 Fiscal Year Annual Research Report
東シナ海から流入する大陸河川起源の淡水が日本海及び三陸沿岸の海洋環境に及ぼす影響
Project/Area Number |
20540426
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
千手 智晴 Kyushu University, 応用力学研究所, 准教授 (60335982)
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Keywords | 海洋物理・陸水学 / 自然現象観測 / 水圏現象 / 水収支 |
Research Abstract |
本研究の目的は、東シナ海から対馬海峡を通して流入した大陸河川(主に長江)に起源をもつ淡水が、日本海の中でどのように拡散し、どのくらい遠方の海域にまで影響を与えうるのかを、現場観測と既往観測資料の解析を通して明らかにすることである。現場観測については、本年度は対馬海峡から日本海沿岸を経て三陸沿岸に至る海域の13地点にワイパー付きメモリー記憶式水温・塩分計を設置し、5月下旬から11月中旬を目処に、海面下約5m深の水温・塩分のモニタリングを実施した。日本海の表層塩分を、これほど広範囲で、連続的かつ長期的に観測した事例は著者の知る限り過去に皆無である。観測の結果、能登半島以南の海域では夏季の塩分低下が顕著であり、低塩分水の移流が確認できたのに対して、能登半島よりも北の山形県,青森県沿岸では塩分低下のシグナルが不明瞭であり、低塩分水の移流を精度良く調べるためにはより多くの観測点が必要であることが示された。一方、既往観測資料の解析については、三陸沖の観測資料については岩手県水産技術センターより、日本海中部海域の観測資料については石川県水産総合センターより沖合定線観測の資料を入手済みであり、解析のためのデータセットの作成に着手した。なお、比較すべき対馬海峡域の水温・塩分変動については、これまでの研究をとりまとめ、学会発表、論文等により公表した。
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