2010 Fiscal Year Annual Research Report
能動型衛星データと数値モデルによるエアロゾル間接効果の実態把握とメカニズム解明
Project/Area Number |
20540427
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河本 和明 長崎大学, 環境科学部, 准教授 (10353450)
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Keywords | 間接効果 / 能動センサー / 数値モデル |
Research Abstract |
データ解析を主に行う解析軸では、能動型センサーであるCloudsatに搭載されている衛星搭載レーダCloudSat/CPR (Cloud Profiling Radar)のレーダ反射率データ(以降Ze)を用いて、異なる気候帯に存在する中国東部とアマゾンの雲の特徴抽出を行った。まず水雲のZeの頻度は一般に二山構造を持つこと、アマゾンの雨季に雨の頻度が最も高く、中国の乾季に雨の頻度が最も低いことを確認した。また中国東部の全雲量(水雲と氷雲の量)の鉛直構造は、冬季には低い雲はあまり無くて降水も少ないこと、一方夏季には低層から10km以上まで雲が存在し、高度6km程度の雲を中心に降雨が多いという季節変化を示すことがわかった。雲内の総水量と降雨確率についての関係は、総水量が多ければ降雨も多いという傾向を示し、800(g/m2)以上の水を含む雲では全て雨が降ることがわかった。また雲の鉛直構造を放射の観点から詳細に調べるために、従来よく使われていた縦軸に高度、横軸にZeを取るCountoured Frequency by Altitude (CFAD)ではなく、Countoured Frequency by Optical Depth Diagram (CFODD)の考えを導入し、縦軸に一層の水雲の光学的厚さ、横軸にレーダ反射率を取って季節毎に図示した。雲粒子数の多寡によって分類したところ、雲粒子数が少なくなるにつれて降雨が増える様子が明らかとなり、雲粒子の凝集によって降雨粒子へと成長していることがわかった。また中国の降雨はアマゾンのそれよりも光学的に薄い雲で生じていることがわかった。 一方、水雲の光学的厚さを横軸、有効半径を縦軸にして両者の統計的振る舞いを調べると、右上がりの正の相関と負の相関を含む所謂ハイヒール型の2つがあることが衛星観測から知られていた。数値計算によってメカニズムを調べるモデル軸では、ビン法(粒子を解像できる計算方法)を用いて様々な粒子状況でモデル計算を行うことにより、この振る舞いの理由は粒子の多寡、すなわち大気が清澄であるか汚染されているかによっておおよそ説明できることを示した。
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Research Products
(7 results)