2010 Fiscal Year Annual Research Report
カービング氷河の変動と氷河前面湖とのフィードバック仮説の検証とモデル開発
Project/Area Number |
20540430
|
Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
内藤 望 広島工業大学, 環境学部, 准教授 (90368762)
|
Keywords | 氷河変動 / 氷河湖 / ブータン・ヒマラヤ / 氷河流動 / カービング / 氷河水文環境 / ペリート・モレノ氷河 |
Research Abstract |
まず、昨年度までに実施してきた、南米パタゴニア氷原ペリート・モレノ氷河における観測データの解析を進めた。特に、氷河湖に突入している氷河末端部における流速と湖水位との関係について、過去4ヶ年分のデータを整理した。氷河の上載圧力から湖水圧を差し引いた有効圧力を推定し流速との相関を探ったが、底面せん断応力の差異を考慮できていないために、良好な相関関係の導出には至っていない。この解析は、本研究課題における仮説検証に直接的に関わる部分でもあるため、今後、さらに解析を進める予定である。その他、ペリート・モレノ氷河における共同観測研究の成果は、共著論文2編と6件の学会発表として公表できた。 そして今年度は、2010年9月1日~10月15日に、ブータン・ヒマラヤのマンデ川上流域を中心とした氷河・氷河湖調査に参加した。研究代表者が1998,1999年に測量した2つの氷河の再測量を実施し、この約10年間の氷河縮小量を算出することができた。その他にも多数の氷河および氷河湖の変化を検出しうる比較写真を撮影した。これらの観測データや現地情報は、ヒマラヤにおける氷河湖拡大とその上流の氷河縮小との関係について、特定事例に留まらない汎用的な関係を解明する上で貴重なものである。 本研究課題で当初から計画していた、複数氷河域における観測を遂行できたことから、研究最終年度における総まとめに向けて、大きなハードルを乗り越えられたと言えよう。
|