2009 Fiscal Year Annual Research Report
山岳・海峡地形がモンスーンと海洋環境変動に及ぼす影響のメカニズム解明
Project/Area Number |
20540433
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
本井 達夫 Japan, Meteorological Research Institute, 海洋研究部, 室長 (90391226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 昭雄 気象庁気象研究所, 気候研究部, 部長 (50354452)
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Keywords | 山岳上昇 / 海峡開閉 / アジアモンスーン / 永年塩分躍層 |
Research Abstract |
山岳地形がモンスーンと海洋環境に及ぼす影響のメカニズムを解明するために、大気海洋結合モデル(気候モデル)と高解像度大気モデルのデータセットを解析して、山岳のアジアモンスーンへの影響の解析を行った。 その結果、山岳がない場合にはモンスーンによる降水が北緯10度あたりの熱帯域に集中するのに対して、山岳が高くなるにつれて強い上昇気流を伴った降雨域が東アジア沿岸域から内陸に移動し、チベット高原の南東に多雨域を生ずるようになることが分かった。また、この多雨域を源流とするアジアの河川の流量が増え、その河口に当たるベンガル湾、南シナ海、東シナ海、黄海において海面塩分が著しく低下することも分かった。高解像度大気モデルの実験では、山岳上昇によるモンスーンの降水と循環の変化を定量的により正確に表現することに成功した。 海峡地形がモンスーンと海洋環境に及ぼす影響のメカニズムを解明するために、対馬海峡と宗谷海峡および太平洋ゲートウェーのひとつであるパナマゲートウェーのモンスーンと海洋環境への影響を調べた。高解像度海洋モデルによる実験の結果から、対馬海峡が閉じている場合には、宗谷海峡から北海道オホーツク海沿岸に夏季形成される冷水帯が形成されないことが分かった。また、パナマゲートウェーが閉じたことで北太平洋の亜寒帯域に永年塩分躍層が形成され、海面で水温が低くなり流氷を形成するようになり高気圧性の大気循環場が強められることによって、東アジアモンスーンが夏季に強められ冬季に弱められることが示された。
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