2010 Fiscal Year Annual Research Report
非回転及び回転する磁気圏プラズマ中に於ける磁気流体不安定性の理論的研究
Project/Area Number |
20540436
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 彰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (20126171)
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Keywords | 磁気圏・電離圏 / 宇宙空間 / 超高層物理学 / 磁気流体不安定性 / プラズマ・核融合 |
Research Abstract |
前年度までに非回転の磁気圏のエネルギー原理により、電離層駆動の交換型不安定の存在が明らかになってきたが、一体この不安定では電離層の下の中性大気から地面に至る領域で電磁場擾乱の構造はどうなっているのかわからなかった。そこで中性大気を含む拡張された磁気圏のエネルギー原理を構築した。0次の磁場はプラズマと大気の境界面(電離層面)に垂直と仮定する。中性大気は非常に重く圧縮性の大きな有限圧力の気体として扱い、中性大気の運動エネルギーは無視する。薄い電離層は電磁場の境界条件として考慮に入れるが、その中でのエネルギー散逸は無視する。固体地球表面は電磁擾乱に対して完全導体の壁であると仮定する。電離層面で、固定あるいは水平方向に自由な境界条件を満たす擾乱に対しては力の演算子が自己共役となりエネルギー保存が成り立ち拡張された磁気圏のエネルギー原理の構築が可能となった。これらの二つの境界条件は現実の磁気圏においては、電離層の電気伝導度が非常に大きいか、小さい時に成り立つ。核融合プラズマにおいては、プラズマを取り囲む真空領域中の磁場の擾乱のエネルギーはポテンシャルエネルギーに対して安定化の寄与をするが、磁気圏ではプラズマに接する中性大気中の磁場の擾乱エネルギーはそのような安定化の寄与をしない。これは磁気圏と核融合のプラズマにおいて、磁場の配位が異なるためである。従って電離層駆動の交換型不安定は中性大気中の磁場擾乱の効果を入れても安定化されることはない。またこの不安定に伴い中性大気中に電離層のホール電流によらない新しいタイプの磁場変動が誘起されることが示され、これは今まで磁気圏物理で地上の磁場変動はホール電流によるものであるという通念を打ち破るものである。またこの不安定は内部磁気圏の低ベータ領域中で起こりやすく、放射線帯やリングカレント領域での動力学に影響を及ぼすことが示唆される。
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Research Products
(4 results)