2008 Fiscal Year Annual Research Report
西南日本外帯蛇紋岩体の変形-磁性-年代解析による間欠貫入の検証
Project/Area Number |
20540451
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山口 はるか Okayama University, 地球物質科学研究センター, 客員研究員 (80359207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 ゆかり 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球深部探査センター, 技術主任 (20359194)
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Keywords | 蛇紋岩 / 地磁気ダイポール異常 / 間欠貫入 / 変成変形過程 |
Research Abstract |
蛇紋岩の生成過程および時空間分布の解明は、地球内部と表層、或いは海陸プレートの相互作用を考える際の最重要課題の1つである。西南日本外帯では、地磁気ダイポール異常がおよそ100km間隔で間欠的に分布し、蛇紋岩体の分布と一致する(村上・吉倉、1992;木戸ほか、2004)。本研究では、これらの蛇紋岩体が同時期に大規模貫入した可能性(藤岡他,1995)について検証するべく、複数の間欠分布蛇紋岩体について変形-磁性-年代解析を行ない、形成過程を考察する予定で、今年度は以下の研究を行った。 1、野外調査:紀伊半島東部と西部、四国西部、四国中部、四国東部の地磁気ダイポール異常が認められる地域において産状調査と試料採取を行った。 (1)紀伊西部(多気)で0.4kmx0.4km(南北x東西)の蛇紋岩体の分布を確認した。紀伊東部では、蛇紋岩体は確認できなかった。このことは、蛇紋岩体または超塩基性岩体が地下に潜在する可能性を示すかもしれない。四国中部(逢坂)、四国東部(檮原)では、ロジンジャイトが脈状に分布していた。 (2)試料採取:紀伊東部および四国西部にて蛇紋岩の剪断部分と非剪断部分について簡易磁気測定を行い、採取した。また、四国中部と東部においてロジンジャイトを採取した。 2、室内解析: (1)微細組織観察:蛇紋岩試料について鏡下観察とEPHA分析を行なった結果、いずれの地域でも非剪断部分ではより初期の微細構造を残し、スピネル周囲に磁性鉱物が成長し、リザルダイトやアンチゴライトが優勢であるのに対し、剪断部分では磁性鉱物の粒径が小さく量が少なくクリソタイルが優勢である傾向が認められた。 (2)岩石磁気解析:岩石磁気測定の結果、非剪断部分でより多磁区的な振る舞いを示し、抗磁力が著しく弱いことが明らかとなった。このことは、現在の磁場に調和的な地磁気ダイポール異常の要因は、蛇紋岩化作用による多磁区化にある可能性を示すと考えられる(山口ほか、2008)。
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Research Products
(3 results)