Research Abstract |
本研究では, 中生代型放散虫が急速に種分化した前期一中期三畳紀に焦点をあてて, なぜ爆発的な種分化をしたのか, どのように種分化現象が収束していったのか, これらの疑問を微古生物学的・有機地球化学的手法から明らかにするを目的とした. 岐阜県犬山の丹波-美濃-足尾帯の下部・中部三畳系を調査し, 層序が整然としている5セクションほどを選定, 単層ごとの柱状図作成とサンプリングを行った. 急速な種分化と多様化の収束をしたとされるNassellaira目に属する, Triassocampe属を約20資料についてすべての個体, 約3,000個体を本科研費で新規購入した実体顕微鏡を用いて拾い出した. これらの個体すべてを現有の電子顕微鏡で観察し, 記録をとった. その結果, 既知種を5種を識別したが, 4〜6割の個体は未命名種であり, その形態種区分の整理を行った. この作業と平行して, Triassocampe属の繁栄の度合いを知るために, 試料1gあたりの含有量を10試料程度について検討した. Anisianの始まりから中期Anisianくらいまでの間で, 1000個体/gから1万個体/9へと全体として増加していることがわかった. とくに急激な増加をする層準ではTriassocampe属の個体数が増える傾向が認められた. この結果は東北大・学部3年生の小川君と共同成果である. 連携研究者の山北により, 北部北上山地の調査が行われ, 石炭紀から三畳紀の連続層序があることがコノドント化石の検討から, 判明した. おなじく連携研究者の海保とその指導学生, 高橋聡により岐阜県犬山の有機地球化学分析が行われた. これらの研究と関連し, 東北大研究生の大金らとともに, 中生代放散虫の両極分布の視点からみたTriassocampe属の進化発展過程を検証し, 「化石」に投稿, 受理された.
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