2010 Fiscal Year Annual Research Report
ペルム紀末大量絶滅後の放散虫の爆発的進化の実体解明
Project/Area Number |
20540452
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 紀毅 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60312542)
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Keywords | 放散虫 / 三畳紀 / 大量絶滅 / 進化 |
Research Abstract |
本研究で前期-中期三畳紀のTriassocampe属は約10種からなることが前年度までの検討で判明している.Triassocampe属の種数や個体数変動を定量的に検討したところ,個体数頻度が激増する層準に限ってTriassocampe属の殻節の長さが異様に長い個体が増えることを突き止めた.中生代のNassellaria全属の殻節の長さをデータベースから調べたところ,殻節の長さが35micron高を超える属はないことが判明し,前期-中期三畳紀にみられる「殻節が異様に長い個体」の存在は,Nassellaria進化史上では特異な現象であることが初めて突き止められた.さらに,単層ごとの放散虫解析からその増加は突然起こることが明らかになった. 前期-中期三畳紀の外洋環境研究の標準序として,愛知県・犬山の桃太郎神社セクシ・ンが用いられる.我々が検討してきたセクションと岩相層序と比較すると,この桃太郎神社セクシ・ンの年代層序に疑念が生じた.そこで,このセクションのコノドント化石層序を検討したところ,これまであるとされた前期三畳紀は実は中期三畳紀であることが分かり,ここをもちいて議論されてきた前期-中期三畳紀の海洋環境について,すべて年代がずれていたことが判明した. 塔状Nassellariaについて,Anisianに種分化が,後期Ladinian~前期Carnianには放散期があることを本研究で突き止めたが,今年度の研究で「殻節が異様に長い個体」が減少するLadinian後期ではCornum属の進化出現などの放散が起きることが具体的に判明した.この現象は研究地域であるパンサラッサ海の外洋域ばかりか,西テーチス海域でも識別され,無機地球化学分析をはじめた.また,この前期-中期三畳紀の多様化現象の外洋生物学的位置づけを地質年代のなかで明らかにするため,後期ペルム紀から中期三畳紀までの全体的な放散虫変動や地球化学的変動もあわせて検討をした.
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Early Thassic (Induan) Radiolaria and carbon-isotope ratios of a deep-sea sequence from Waiheke Island, North Island, New Zealand2011
Author(s)
Hori RS, Yamakita S, Ikehara M, Kodama K, Takemura A, Kamata Y, Suzuki N, Takahashi S, Sporli KB, Grant-Mackie JA
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Journal Title
Palaeoworld
Volume: 20巻(印刷中)
Peer Reviewed
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[Presentation] ニュージーランド,ワイヘケ島の海洋底シークェンスにおけるペルム紀/三畳紀境界の検討その1:コノドント生層序2011
Author(s)
山北聡, 堀利栄, 相田吉昭, 竹村厚司, 小玉一人, 池原実, 鎌田祥仁, 鈴木紀毅, 高橋聡, Sporli KB, Grant-Mackie JA
Organizer
日本古生物学会第160回例会
Place of Presentation
高知大学(高知県)
Year and Date
2011-01-29
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[Presentation] ニュージーランド,ワイヘケ島の海洋底シークェンスにおけるペルム紀/三畳紀境界の検討その2:炭素同位対比変動および放散虫化石(予報)2011
Author(s)
堀利栄, 小玉一人, 池原実, 山北聡, 相田吉昭, 竹村厚司, 鎌田祥仁, 鈴木紀毅, 高橋聡, Sporli KB, Grant-Mackie JA
Organizer
日本古生物学会第160回例会
Place of Presentation
高知大学(高知県)
Year and Date
2011-01-29
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[Presentation] ニュージーランド,アローロックスOruatemanu層のOlenekianコノドント生層序2010
Author(s)
山北聡, 松本鉄平, 前山尭之, 竹村厚司, 小森はる奈, 相田吉昭, 酒井豊三郎, 藤口匠吾, 堀利栄, 小玉一人, 鎌田祥仁, 鈴木紀毅, 高橋聡, 池田昌之, Sporli KB, Campbell HJ
Organizer
日本古生物学会創立75周年記念行事および2010年年会
Place of Presentation
筑波大学(茨城県)
Year and Date
2010-06-13
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