2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540454
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
伊藤 孝 茨城大学, 教育学部, 准教授 (10272098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 光世 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (40251037)
大串 健一 神戸大学, 人間発達環境科学研究科, 准教授 (10312802)
臼井 朗 高知大学, 理学部, 教授 (20356570)
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Keywords | 新生代 / 溶存酸素極小層 / 堆積物 / マンガンクラスト / 古海洋 / IODP / PEAT |
Research Abstract |
昨年度からの継続で,研究代表者が乗船した研究航海(IODP Exp.321航海Pacific Equatorial Age Transect:PEAT)により得られた中~後期中新世の遠洋性炭酸塩堆積物を対象にOs同位体比,Re,Os濃度の分析を行った。分析した時代は14Ma~11Ma,分析頻度は約4万年である。 硝酸-過酸化水素溶出部のRe濃度は0.02~12pg/g間の値をとり,極めて大きく変化した。Os同位体比については,全岩,硝酸-過酸化水素溶出部について分析したが,両者において有意な相違は見いだせず同じ値を有していた。このことは,今回分析したような遠洋性炭酸塩堆積物では,微量に含まれるケイ酸塩砕屑物からのOsの寄与は極めて小さいことを意味している。また,先に示したRe濃度が非常に高い層準では,Os同位体も高く,堆積後の187Reから187Osへの壊変が反映していることが明らかとなった。高Re層準において,良好なアイソクロンが得られることは,埋没・続成過程でRe-Os系が閉鎖系に保たれていたことを示唆している。187Reからの壊変分を考慮したOs同位体比は,14Maから11.8Maにかけて高くなり,そこから11Maに向かい徐々に低くなっている。これらの傾向は,これまで公表されている,より荒い時間の精度の海洋Os同位体比の変化で示された単調な上昇とは明らかに異なっている。このことは海水のOs同位体比が「全地球的な寒冷化→大陸の侵食量の増加→大陸起源Osの海洋への大規模な流入」というような単純な図式では説明できないことを意味する。
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