2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540455
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 猛智 The University of Tokyo, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚部 一成 東京大学, 理学系研究科, 教授 (20108640)
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Keywords | 系統 / 進化 / 多様性 |
Research Abstract |
様々な形態学的形質から頭足類の起源を理解するために、鞘形類の比較解剖、殻体構造の比較、発生過程の比較、化石頭足類の研究を行った。鞘形類はコウイカ、スルメイカ、ジンドウイカ、ヨツメダコ、メンダコなどを解剖し、鞘形類の共有派生形質を再検討し、オウムガイ類と鞘形類を区別する形質を確認した。殻体構造の研究では、頭足類の外群となる軟体動物、特に腹足類、二枚貝類のSEM観察を行った。殻体構造の形質は現時点では系統的な解釈が難しく、腹足類のカサガイ類および二枚貝類の原鰓類に関する詳細な研究がさらに必要である。発生の研究では、オウムガイ類および鞘形類の胚発生の過程を他の軟体動物、あるいは左右相称動物と比較することにより、頭足類の直接発生と他の動物群の幼生の発生に見られる共通性を考察した。特に、胚における頭足部の形成様式の特殊化、神経策の集中と脳の発達が、頭足類が派生する過程で最も劇的な変化であると考えられる。化石頭足類の研究では、白亜紀後期頭足類の顎器の比較解剖学的研究を行い、アンキロセラス亜目アンモノイド類の下顎石灰質沈着物の微細構造の多様性を明らかにするとともに、北海道のチューロニアンの地層から産した下顎化石に基づき、コウモリダコ類Nansimoteuthis属の新種を提唱した。また、中生代アンモノイド類の胚殻表面にある微細な疣状突起の形成過程を保存の良い胚殻試料を用いてSEM観察を行い、それらが胚発生の中期に形成されたことを明らかにするとともに、それらの形成に外套膜原基(貝殻線)は関与せず、"無機"的に沈着したとするモデルを提唱した。
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