2009 Fiscal Year Annual Research Report
下部地殻の異種岩石間における部分融解連鎖反応に関する先導的研究
Project/Area Number |
20540462
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣井 美邦 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (40019427)
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Keywords | グラニュライト / 残晶状藍晶石 / 後退的紅柱石 / 部分融解 / 流体 / 石墨 / 渦巻き成長 / 下部地殻 |
Research Abstract |
本年度は、南極産のコンダライトとそれと互層する不純大理石並びにそれらの間に発達した「スカルン」に加えて、昨年度に南インドで現地調査し、採集した岩石試料およびの詳細な観察・分析を行い、成果を学会等で発表した。 本年度の研究成果として特筆すべきことは、次の2点である。 1南インドの珪線石に富むグラニュライト(模式地のコンダライト)から、初めて、後退的な紅柱石と残晶状の藍晶石を発見し、スリランカや南極の昭和基地周辺に分布するグラニュライトとの重要な共通点を確認した。さらに、紅柱石に近接してコランダム+石英という特異な鉱物組合せも世界で初めて見出し、これらの鉱物および鉱物組合せの安定関係に関する新しい手掛かりを得た。また、紅柱石の一部には既存のアルカリ長石を置換して生成したものがあり、その内部にアルカリ長石結晶中での離溶によって形成された斜長石ラメラがそのまま保持されているという、これまでに報告のない新しい産状も見出し、地殻内での流体と岩石との相互作用に関する新しい手掛かりも得た。 2不純大理石中のMg-Alに富むグラニュライト岩塊(従来、これも「スカルン」とされてきた)中で菫青石や灰長石、タルク等のケイ酸塩鉱物と直に接する一部の石墨結晶の表面に、よく保存された渦巻き成長模様を見出した。これは下部地殻におけるグラニュライト相変成作用時の岩石の部分融解や降温時の流体の生成とその組成変化に関する新しい情報と制限を与えるものとして特に重要であり、詳細な解析と検討を行っている。 現在、上記の新しく見出された事実や現象を鋭意解析し、論文化を急いでいる。
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