2010 Fiscal Year Annual Research Report
玄武岩マグマの加熱による地殻の溶融-沈み込み帯のフェルシックマグマの起源-
Project/Area Number |
20540463
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
周藤 賢治 新潟大学, 自然科学系, 自然科学系フェロー (50143748)
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Keywords | 北部北海道 / Sr同位体比 / Nd同位体比 / 流紋岩 / 玄武岩 / 下部地殼 / 部分溶融 / REE |
Research Abstract |
北海道東北部(オホーツク海側の南北160km,東西80kmの範囲)に分布する14~9Ma,8~6Ma,5~2Maの火山活動によって形成された流紋岩について,主要・微量元素組成,Sr,Nd同位体比などが測定された。コンパイルした同時代の大多数の玄武岩のSrI,NdIは枯渇的な値を示すが,5産地のものは非枯渇的な値をもつ。流紋岩も玄武岩と同様に,枯渇的なSrI,NdIをもつもの(枯渇的流紋岩)と非枯渇的な値をもつもの(非枯渇的流紋岩)とがある。この事実は枯渇的なSrI,NdIをもつ流紋岩と玄武岩間で,また非枯渇的SrI,NdIをもつ流紋岩と玄武岩間で成因的に関連している(結晶分化作用)可能性を示唆しているが,REE量は玄武岩からフェルシック火山岩へ系統的に増加する傾向がみられないことから,結晶分化作用では説明されない。また,REE組成の検討結果は,同一のマントルカンラン岩からの部分溶融度の違いに基づく流紋岩マグマと玄武岩マグマの成因説とも矛盾することを示した。.そこで流紋岩の下位に広く存在する地殻構成岩(日高帯の構成岩)と流紋岩のSrI,NdIを比較した。日高帯あ角閃岩や緑色岩は枯渇的流紋岩に類似のSrI,NdIをもつ。また,日高帯の花嵐岩類は非枯渇的流紋岩と類似のSrI,NdIをもつ。これらの事実は,これらの地殻構成岩が北海道東北部の流紋岩マグマの起源物質に相当していることを示唆している。玄武岩マグマの加熱により下部地殻が部分溶融し,流紋岩マグマが生成したことが論じられた。
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