2008 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯での脱水・加水作用と固体地球プロセスの解明
Project/Area Number |
20540468
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森口 拓弥 Okayama University, 地球物質科学研究センター, 准教授 (70304342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻森 樹 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (00436833)
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Keywords | 変成作用 / 沈み込み帯 / リチウム同位体 / ホウ素同位体 / 加水作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は前弧域の沈み込み帯-ウェッジマントル先端部での水あるいは流体が寄与した物質循環を解明することにある。この研究は、エクロジャイト相までの変成岩の全岩・鉱物に対して、詳細な地質学的・岩石学的記載を基礎に、主要・微量元素およびLi・B・Sr・Nd・Pb・Hf同位体分析による地球化学的解析を行い、これまでほとんど研究対象として扱われなかった降温過程での加水作用にも注目して、変成岩にこの加水作用に関わる流体の起源および経路を明らかにしようとするものである。さらにこの結果に基づいて、前弧域における流体がウェッジマントルの化学的進化や大陸地殻の形成・進化に果たす役割を明らかにし、地球浅所における固体地球プロセスを最終的には解明しようとするものである。 本年度は、三波川変成帯の汗見川沿いに分布する緑色片岩相・角閃岩相の緑色岩および泥質岩の微量元素・LiおよびB同位体分析結果の解析を行った。これにより、緑色岩の化学組成は、泥質岩由来の流体の化学組成の影響を受け、その影響は境界から遠くなるにつれ小さくなることが観察された。ただし、境界部の直近域では、降温過程時に水に対する溶解度の高い元素が岩石から抜け出ていると考えられる結果が得られ、期待された加水作用における元素の付加とは逆の溶出の可能性が示唆されている。現在、最終結論が得られていないが、今後さらなる系統的分析を行い、降温過程時の沈み込み帯での元素の挙動および流体の振る舞いを明らかにする予定である。 本研究の目的は前弧域の沈み込み帯-ウェッジマントル先端部での水あるいは流体が寄与した物質循環を解明することにある。この研究は、エクロジャイト相までの変成岩の全岩・鉱物に対して、詳細な地質学的・岩石学的記載を基礎に、主要・微量元素およびLi・B・Sr・Nd・Pb・Hf同位体分析による地球化学的解析を行い、これまでほとんど研究対象として扱われなかった降温過程での加水作用にも注目して、変成岩にこの加水作用に関わる流体の起源および経路を明らかにしようとするものである。さらにこの結果に基づいて、前弧域における流体がウェッジマントルの化学的進化や大陸地殻の形成・進化に果たす役割を明らかにし、地球浅所における固体地球プロセスを最終的には解明しようとするものである。 本年度は、三波川変成帯の汗見川沿いに分布する緑色片岩相・角閃岩相の緑色岩および泥質岩の微量元素・LiおよびB同位体分析結果の解析を行った。これにより、緑色岩の化学組成は、泥質岩由来の流体の化学組成の影響を受け、その影響は境界から遠くなるにつれ小さくなることが観察された。ただし、境界部の直近域では、降温過程時に水に対する溶解度の高い元素が岩石から抜け出ていると考えられる結果が得られ、期待された加水作用における元素の付加とは逆の溶出の可能性が示唆されている。現在、最終結論が得られていないが、今後さらなる系統的分析を行い、降温過程時の沈み込み帯での元素の挙動および流体の振る舞いを明らかにする予定である。
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