2010 Fiscal Year Annual Research Report
アナログ物質の変形実験に基づく沈み込むスラブの相転移時における強度変化の解明
Project/Area Number |
20540469
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安東 淳一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50291480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 郁夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10448235)
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Keywords | 固体圧式変形実験装置 / オリビン / アナログ物質 |
Research Abstract |
昨年度までの研究によって、封圧1GPa・温度~700℃の条件における、歪速度10^<-5>~10^<-6>/秒での定歪速度実験が可能な試料セルが確立できた。この試料セルは、比較的低い温度で塑性変形する岩石・鉱物の変形実験に使用する事が可能である。現時点では次ページの研究発表:雑誌・学会発表の項でまとめている様な蛇紋岩の変形実験に有効に用いられており、その塑性変形特性の解明の研究成果につながっている。 本年度は、より高温(~1100℃)で長時間の変形実験に持ちこたえる事が可能な試料セルの開発を昨年に引き続いて行った。この試料セルの開発においては、1)試料とピストンに接する部分の圧力媒体にNaClを用いる事、2)グラファイトヒーターの肉厚を大きくする(約0.5mm)事、3)グラファイトヒーターをサポートするスリーブを配置する事を念頭に置いた。1)~3)の狙いは以下の様である。1)NaClの圧力媒体は高温の元で圧力媒体中に進入するピストンとの間に発生する摩擦力をかなり小さくする事ができる為に、優位な試料の力学データの取得に寄与する。また、2)と3)は、ピストンの駆動に伴うグラファイトヒーターのダメージを抑える事に寄与する。 本年度までの実験では、試料の高温(~1100℃)における力学データを取得可能な試料セルを構築させる事ができなかった。実験によっては、定常状態近くまで変形を継続できたが、ほとんどの実験では試料が降伏する以前の弾性歪領域において加熱が不安定になった。これは、約800℃で生じるNaCl圧力媒体の溶融に起因している。この問題の解決には、1)試料セル全体のサイズ(現在は外径:約23mm、長さ:約26mm)に対するNaCl圧力媒体の体積比を減らす事が最も重要である。また圧力媒体(外側:タルク,内側:NaCl)のシリンダー部からの浸み出しを押さえる機構を変形装置に加える必要があるとの見解に至っている、今後、この点に固執して、セル開発を継続させる予定である。
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