2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540472
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
松原 聰 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 地学研究部, 部長 (40000137)
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Keywords | 元素分別濃集過程 |
Research Abstract |
今年度の成果は以下の通りである。 1鉄の砒酸塩鉱物類が、砒鉄鉱から生成され、やがて非晶質のものに変化する過程を化学的・X線結晶学的な手法で研究した。大分県佐伯市木浦鉱山産の資料を用いたところ、鉄の酸化状態によって5種類(parasymplesite,symplesite,ferrisymplesite,amorphous)もの結晶構造転位が推定でき、今後はそれらをさらに精査することとした。 2鹿児島県奄美大島の大和鉱山産マンガン鉱石に含まれるバナジウムが、鉱床生成末期にバナジン酸塩鉱物として、3種類の鉱物(tokyoite,palenzonaite,medaite)が生成され、さらにそれらの一部から二次的なバナジン酸塩鉱物(少なくとも3種類が確認されたが、いずれも未知種の可能性がある)が地表近くで形成されているのを確認した。 3山口県内の2ヵ所の鉱山跡から得られた鉱石中の含ビスマス硫化物から、地表近くで形成されたビスマスの酸化物、水酸化物、ケイ酸塩などを研究し、その中には新種の可能性もあるものが存在することが半理明した。 4愛媛県西条市市ノ川鉱山産のアンチモン硫化物である輝安鉱から二次的に形成された含水アンチモン硫酸塩鉱物を検討し、我が国で初めての産出となる2種類の鉱物(klebelsbergite,coquandite)を確認した。 5静岡県下田市河津鉱山産テルル鉱石中の亜テルル酸塩鉱物のうち、欽一石について化学的な再検討を行い、その中の亜鉛、マンガンおよび鉄の挙動を調べた。これにより欽一石の再定義あるいは新種の確立が必要となった。 6国立科学博物館に所蔵されている本研究対象鉱物のうち、81種類、1,150点についてデータベース化した。また、そのうちの各鉱物産地が日本地図上に表示されるようになることをめざし、まずミメット鉱とコニカルコ石について試行した。
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