2008 Fiscal Year Annual Research Report
堆積・続成過程における微量元素の化学状態決定と化学的挙動の解明:古環境指標の確立
Project/Area Number |
20540475
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 洋 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (60090544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10304396)
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Keywords | 希土類元素 / 海洋環境 / 深海底堆積物 / チャート / Mn酸化物相 / リン酸塩相 / XANES法 / LA-ICP-MS |
Research Abstract |
堆積物・堆積岩の地球化学的特徴は、堆積当時の海洋環境の情報をもたらす。このような化学的指標のひとつとして、希土類元素(REE)パターンがある。しかし、REEパターンが有効な指標となるためには、続成過程において堆積物中のREE濃度が変動せず、堆積時の情報を保持していることが必要である。REEパターンに対する続成作用の影響を調べるために、ODP(Ocean Drilling Program)のleg191サイト(41.4°N、159.9°E、水深5500m)で採取された深海底堆積物コア試料及び同じコアから採取されたチャートについて、以下の実験を行った。(1)laser ablation (LA)-ICP-MS及び段階的抽出法によるREEのホスト相の同定とその深度別プロファイルの決定。(2)XANES法によるREEのCe並びに共存するFeやMn等の主要元素についての価数決定とその深度別分布の決定。(3)REE、Fe、Mn濃度の深度別プロファイルの決定。 上記(1)、(2)、(3)の実験データから、REEは続成作用によりMn酸化物相からリン酸塩相に移動するものの、コアの各深度におけるバルクのREEパターンはほぼ変化していないことが分かった。従って、この研究で扱った深さの範囲(0-40mbsf;mbsf=meters below sea floor)では、バルクのREEパターンは続成作用の影響を大きくは受けないと考えられ、海底堆積物に対してREEパターンは有効な地球化学的指標であることを支持する。同様の結果は、この堆積物コア試料の下部のチャート試料(290-370mbsf)の分析でも得られた。これらの結果は、REEパターンを用いた古環境解析を行う上で重要な知見である。
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Research Products
(4 results)