2009 Fiscal Year Annual Research Report
堆積・続成過程における微量元素の化学状態決定と化学的挙動の解明:古環境指標の確立
Project/Area Number |
20540475
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 洋 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (60090544)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10304396)
|
Keywords | 堆積・続成過程 / 微量元素 / 化学状態決定 / 古環境指標 / マンガン酸化物 |
Research Abstract |
堆積岩の地球化学的特徴は、地球表層環境の変遷を記録している。本研究では、希土類元素(REE)をはじめとする微量元素について、堆積物への取込みメカニズムと堆積後の反応を原子・分子のミクロな観点から解明し、REEなどの微量元素の地球化学指標の意義付けを明確にする。本年度は、REEの堆積物への取り込みの主要プロセスの一つであるマンガン酸化物への取り込み過程について関連元素とともに検討した。 北西太平洋の拓洋第5海山の山頂から中腹にかけて、水深950mから2810mまで約2000mに渡って連続的に採取されたマンガンクラストのREE及び関連元素の濃度の深度プロファイルを調べた。(この深度範囲では、海水の溶存酸素濃度は水深950m付近での酸素極小層から深度とともに増加している。) 主要な結果は次のとおりである。 1. Mn濃度は深部に向けて濃度が減少する傾向がある。一方、鉱物組成は深度に対して大きな差は無く、海山に堆積するマンガンクラストとして典型的なδ-MnO_2が主成分であった。 2. REEパターンおよびCe異常は、各深度のマンガンクラストにおいて、一般的な傾向として大きな変化は認められない。 3. Coは深度に関わらず三価として存在しているが、濃度プロファイルはMn濃度と同様に深部に向けて減少する。 4. Ce/Co比は深さとともに増加する。 今回の結果から、次の地球化学指標についてその意義が明らかになった。 5. Co濃度はMnの酸化速度を反映している。 6. Ce濃度は酸化還元と成長速度の双方を反映しているが、Ce/Co比は酸化環境の指標となる。
|
Research Products
(3 results)