2010 Fiscal Year Annual Research Report
堆積・続成過程における微量元素の化学状態決定と化学的挙動の解明:古環境指標の確立
Project/Area Number |
20540475
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 洋 広島大学, 大学院・理学研究科, 名誉教授 (60090544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10304396)
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Keywords | 堆積・続成過程 / 希土類元素 / 微量元素 / 腐植物質 / 原油 / バクテリア |
Research Abstract |
堆積岩の地球化学的特徴は、地球表層環境の変遷を記録している。本研究では、希土類元素(REE)をはじめとする微量元素について、堆積物への取込みメカニズムと堆積後の反応を原子・分子のミクロな観点から解明し、REEなどの微量元素の地球化学指標の意義付けを明確にする。本年度は、堆積物へのREEの取り込み機構の基礎的研究として、有機物やバクテリアと水との間におけるREEの分配を検討した。この課題は堆積物のREEを考える際に重要であるが、従来の研究例は少なく、本研究の成果はその点においても意義が大きい。 1.天然有機物の腐植物質(HS)に対するREEの錯生成定数(β_<HS>)が、腐植物質の官能基の不均一性に起因し、REE/HS比の上昇にともない減少することを明らかにした。そして、REE/HS比が大きい領域ではカルボキシル基が、REE/HS比が小さい領域ではキレート配位子がREEの結合サイトであることを示した。 2.水-原油間でのREEの分配を、中国北西部新彊ウイグル自治区の泥火山噴出口から採取し試料について調べた。原油試料のREEパターンは原子番号の大きな重希土類元素(HREE)下がりになっており、その濃度は共存する水試料よりも100倍以上高いことを示した。疎水性である原油が、イオン性の強いREEを共存する水相よりも大量に含んでいることを明らかにし、原油中のREEがカルボキシル基と錯生成をしている可能性を指摘した。 3.水溶液中のREEは、バクテリア細胞表面に周囲に比べて10万倍程度濃縮することを示した。特に原子番号の大きな重希土類元素(HREE)の濃縮が著しく、バクテリア細胞壁に含まれるリン酸基との結合であることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)