2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540481
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大澤 幸治 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10115537)
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Keywords | プラズマ物理 / 粒子加速 / 無衝突衝撃波 / 粒子シミュレーション / 磁気流体波 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、非線形磁気音波、特に大振幅衝撃波の電磁場構造を理論と相対論的電磁粒子シミュレーションで研究し、磁力線に平行方向の電場を求めた。外部磁場の磁気圧力が熱的な圧力よりも大きいときには、衝撃波における平行電場は磁場圧力の2乗に比例する。理想磁気流体力学では、平行電場はゼロあり、一般に低周波、長波長の磁気流体的現象では高温プラズマにおける平行電場は極めて弱いと考えられてきた。しかし、私どもの研究でそれが従来の常識よりもずっと大きくなり得ることが明らかになった。 さらに、この電磁場構造に関する成果を磁気音波衝撃波による粒子加速の研究に応用した。まず、私どもが過去に発見した3つの既知の加速機構(捕捉電子の加速、相対論的イオンの多段加速、磁力線方向の陽電子の加速)について改めて検討し、これらの加速機構の理解を一層深めた。 次に、上記括弧内3番目の陽電子加速について、外部磁場強度の勾配が陽電子加速に及ぼす効果を調べた。この機構では衝撃波速度がc cosθ(ここで、cは光速、θは外部磁場と伝播方向との角度)に近い時に特に加速が強い。この条件が満たされているときのシミュレーションを行った。まず、外部磁場が一様であるとき、陽電子のローレンツ因子が1万を超える超相対論的加速が起こることを示した。次に、外部磁場強度が強くなる方向に衝撃波が伝播する場合と、弱くなる方向に伝播する場合とを比較し、後者の方が強い加速が起こることを示した。
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