2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属添加酸化亜鉛透明導電膜スパッタ成膜過程におけるプラズマ支援効果
Project/Area Number |
20540485
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松田 良信 Nagasaki University, 工学部, 准教授 (60199817)
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Keywords | 誘導結合プラズマ / スパッタリング / アルミ添加酸化亜鉛 / 透明導電膜 / プレーナマグネトロン / 電気導電率 / 吸収分光 |
Research Abstract |
スズ(Sn)添加酸化インジウム(ITO)透明導電膜の代替材料として、AlやGaなどの金属を添加した酸化亜鉛(ZnO系)薄膜が注目を集めている。本研究では、高周波誘導結合プラズマ(ICP)を併用したスパッタリング法(ICP支援スパッタリング法)による安定性の高いアルミ添加酸化亜鉛(AZO)成膜プロセスの開発を行っている。平成20年度に実施した主な内容と成果を計画に従い以下に列挙する。 1.真空排気・ベーキング・基板洗浄をルーチン化することで、到達真空度とターゲット・基板の表面初期状態のキャラクタリゼーション手順を確立し、実験の再現性を向上させた。 2.直流マグネトロンスパッタリングをICP支援した際の膜質の変化およびその最適化を行った。動作気圧とガス流量、電極間隔、放電電力(電圧・電流)を変化させて得られる膜の成膜速度、透明導電性、その基板面内分布がどのように変化するかを系統的に調査し、2×10^<-3>Ωcm程度の導電率を有する均一性の良いAZO膜が再現性良く作成できるようになった。 3.以上の1と2の対策により比較的良好な品質のAZO膜を再現性良く得られたことから、内部コイルアンテナの絶縁被覆の見直しと基板ホルダーの改良は現時点では不要であると判断した。 4.膜質と基板入射熱流束の関係を調査するために、サーマルプローブを試作し、基板入射熱流束測定の動作確認試験を行った。ICP電力と熱流束の比例関係を確認し、基板入射熱流束測定の原理実証はできた。しかし、定量性の確保と時間応答の改善が今後の課題である。 5.ホローカソードランプを用いた吸収分光システムを構築し、亜鉛原子密度の吸収測定予備実験を行った。ZnとAlともに明瞭な吸収信号を確認し、これらの原子密度を評価できるようになった。 6.AZOターゲットに発生するアーキング現象を調査し、そのICPによる抑制効果を確認した。
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