2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 信一郎 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10262601)
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Keywords | 化学物理 / 光物性 / 超分子化学 / ナノ材料 |
Research Abstract |
超分子ナノ空間内への分子の包接現象をデコヒーレンス抑制の手段として確立させ、凝縮系における分子波動関数の量子制御の効率化を図ることが本提案のねらいである。近年、化学反応のコヒーレント制御(M.Dantus et al.,Chem.Rev.104,1813(2004))や、分子の電子・振動状態を量子ビットとして用いた量子コンピューティング(Y.Ohtsuki,Chem.Phys.Lett.404,126(2005))など、超短パルスレーザーを用いて原子分子の波動関数を直接制御しようとする試みが報告されている。これらの量子制御を実現するにあたって、原子分子の波動関数がどれだけ長い間コヒーレンス(可干渉性)を保持できるかが重要となる。したがって、コヒーレンスが失われてゆく過程-デコヒーレンス(位相緩和)-の機構やダイナミクスの解明、さらにはその抑制を目指す。ペリレン/γ-CD系をはじめとして、アントラセン誘導体/β-CD系においてナノキャビティ包接効果によって、電子状態の分子波動関数が保護されることが見出された。この保護効果発現にはCDキャビティとゲスト分子の空隙をを埋めるスペーサー分子が必須であり、スペーサー分子として、アルコール・ケトン類、DMSOが有効であることを見出した。ケトン系とアルコール系については、アルキル鎖長依存性を精査し、保護効果が最大になるアルキル鎖長では、ケトン系のほうがアルコール系よりも保護効果が大きくなることを見出した。これはアルコールの水酸基の揺らぎが波動関数の位相の乱れを誘起しているものと推測される。また、ホストゲスト錯体の組成比が1:1錯体では保護効果が発現しないことをパーメチル化CDを用いて確認し、1:2錯体の形成が必須であることを証明した。
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[Journal Article] Photophysical characterization of cumarin-doped poly (lactic acid) microparticles and visualization of the biodistribution2010
Author(s)
S.Abe, T.Kiba, K.Hosokawa, S.Nitobe, T.Hirota, H.Kobayashi, T.Akasaka, M.Uo, Y.Kuboki, S.Sato, F.Watari, I.D.Rosca
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Journal Title
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena
Volume: 181
Pages: 181-185
Peer Reviewed
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