2010 Fiscal Year Annual Research Report
光圧誘起分子集合形成に基づく蛋白質の結晶作製の研究
Project/Area Number |
20550002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪井 泰之 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00283698)
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Keywords | プラズモン / 金ナノ粒子 / 共焦点光学顕微鏡 / 光捕捉 / 勾配力 / アミノ酸 / SERS |
Research Abstract |
蛋白質の結晶作成に向け、最初の第一歩はレーザー集光位置に蛋白質部分子を捕捉・集合させることである。このような分子捕捉、つまり溶液中において分子を空間的に自在に操作することは、永年の化学者の夢であった。 最終年度にあたる本年度は、今まで用いてきた集光レーザービームによる分子捕捉ではなく、貴金属ナノ構造に局在するプラズモン増強光電場を用いた分子捕捉の研究に着手した。局在プラズモンを用いた分子捕捉(結晶作製を志向した分子捕捉)には、(1)~kW/cm2程度の光強度でナノ粒子を捕捉出来るので光損傷の心配がない、(2)回折限界を超えたナノ空間に粒子を閉じ込められる、(3)大面積化も可能、といったメリットがある。 今年度は(1)半導体ナノ結晶のプラズモン光捕捉に成功した、(2)分光学的にプラズモン捕捉の動的挙動を解明した、(3)鎖状高分子の光捕捉にも成功した、(4)光共鳴法の導入により捕捉効率を大きく向上することができた、などの成果を得た。ここでは蛋白質光捕捉の前駆段階となる(3)について述べる。環境応答型蛍光プローブを持つ高分子を試料とした。水溶液中に溶解しているこのような鎖状高分子のプラズモン光捕捉を試みた。金ナノ構造基板上に光捕捉が顕微画像により観測されたが(右図参照)、その蛍光挙動は複雑であった。すなわち、プラズモン励起に応じて焦点位置の蛍光が増える条件もあれば、逆に消光される場合もあった。また、これらの挙動は照射光強度にも鋭敏に依存した。一方、光照射時の金ナノ粒子近傍の温度を蛍光相関法で高精度で評価することがでた。これにと蛍光スペクトルの解析結果と合わせ、鎖状高分子の光捕捉のモデルの構築を急いでいるところである また、一方でカタラーゼなどの蛋白質の結晶化にチャレンジしている最中である。
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