2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550006
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
江川 千佳司 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (30151963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 秀和 宇都宮大学, 工学研究科, 助教 (10311599)
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Keywords | 自己組織化 / 固体表面 / 振動分光 / STM |
Research Abstract |
キラルを有するアミノ酸であるアラニン分子を,4回対称性を持つ構造に異方性のないCu(001)表面に吸着させると,そのラセミ混合物はD体とL体の領域に分離し,D体のドメインとL体のドメインが【110】方向に境界線を形成するという興味深い走査型トンネル顕微鏡(STM)像が観測される。アラニン分子は,メチル基を表面から遠ざけてアミノ基のN原子とカルボキシル基の2つのO原子で3つの表面Cu原子に吸着するとともに,吸着したアミノ基のH原子と隣のアラニン分子のカルボキシル基のO原子の間で,分子間の水素結合ネットワークを形成する。この自己組織化吸着構造の安定化には,バルク構造から予想されるCu原子の位置よりも互いに時計回りに回転した位置に表面Cu原子が変位することがSTM像から得られた。この変位を詳細に調べるため,下地のCu基板と吸着したアラニン分子の周期構造に基づく低速電子回折強度の電子エネルギー依存性の測定と解析を行い,下地のCuも含めた吸着構造の最適化を図った。さらに,D体とL体のドメインに相分離を達成している境界での分子間結合の形成と,異なるキラル分子間の識別の関連を調べるために,D体あるいはL体の領域に異なるキラル分子が成長する様子について,STM像により検討するとともに,昇温脱離法によりアラニン分子が自己組織化吸着構造を形成できなくなる温度領域を調べて,境界での分子間結合の大きさを評価した。
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Research Products
(1 results)