2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 啓文 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (70290905)
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Keywords | 共鳴構造 / 電子状態 / ab initio / 分子軌道法 / 原子価結合法 |
Research Abstract |
本課題では、これまで我々が開発してきた双直交な第二量子化演算子表現に基づく共鳴構造理論を基に、その直接的な発展・一般化を図る。同時に、この解析法を下敷きにしつつ、既存の方法とは本質的に異なる新規理論を生み出すことを目標としている。実施初年度にあたる今年度は、これまで確立してきた理論について様々な角度から検討を行った。具体的には以下の通り要約される。 (1) MO法、VB法いずれにせよ実際の計算では適当な基底関数展開が必須である。また、我々の方法では、局在化軌道を生成して適当な生成消滅演算子を必要とする。現実の計算においては、これらについて幾つかの方法が知られており、いわば人為的な選択を行う必要がある。そこでこうした選択が数値結果に与える影響について系統的に検討を行った。その結果、我々の方法から導かれた共鳴構造の重みは、基底関数、局在化法、演算子などに殆ど依存せずに、検討した分子系いずれに対しても事実上同等の結果を与えることがわかった。 (2) この方法を用いて、水、アンモニア、ホルムアミド、ホルムアルデヒドなど様々な化学種の電子構造を調べた。いずれも化学的な直感に直接結びつく結果を与えていることが分かった。 (3) 化学反応は電子状態変化が端的に現れる例の一つである。アミンに対する二酸化炭素吸着を例に、この方法が的確にその変化を説明し、計算結果の解釈する上で非常に有効であることが示された。 以上の結果は、二つの学術論文として投稿し、そのうちの一つは既に出版が確定している。
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Research Products
(2 results)