2010 Fiscal Year Annual Research Report
強レーザー場による空間分割を利用した量子制御理論の構築
Project/Area Number |
20550021
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菅原 道彦 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (40276415)
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Keywords | 化学物理 / 量子制御 / レーザー / 空間分割 |
Research Abstract |
強レーザー場照射による空間分割がもたらす緩和過程の抑制効果が、Bixon-Jortnerモデルの上での振動エネルギー再分配過程の抑制に有効であるという成果を踏まえ、より具体的な分子であるチオホスゲン(SCCl2)分子について本手法の適用を試みた。この際、IVRが付随する中間状態と、電子励起状態の振動基底状態を強レーザー場で結合させることにより、CS伸縮運動等の特定の振動モードを選択励起し、そのエネルギーを他モードに散逸させることなくより高いCS伸縮振動励起状態に分子が遷移可能であることを示した。この結果より、分子内の特定の結合を切断するというような、レーザーを用いた反応制御への有用な道筋が拓かれたといえる。 一方で、レーザー場と分子の間の相互作用の最低次数が2次となる双極子モーメントを持たない分子の配列制御についての制御則の理論的構築も行った。数学的構造に起因する制約により、通常の局所制御理論を適用できないため、本研究では一定の条件下におけるレーザーパルスのエンベロープ設計に対象を絞り理論構築を行った。その結果、パルス設計に要求される条件として、回転波近似を2光子過程に適用出来る程度の共鳴条件を満たしていること、分子とレーザー場の相互作用項として2次が最低次であること、の二点が明らかとなった。以上の結果より、双極子モーメントを持たない等核2原子分子等の分子の配列制御に関して、共鳴レーザー場を利用した制御の理論的設計が容易になることが期待される。
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Research Products
(6 results)