2010 Fiscal Year Annual Research Report
絶対強度較正可能な広帯域テラヘルツスペクトルを利用した分子の量子状態の解明
Project/Area Number |
20550022
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
尾関 博之 東邦大学, 理学部, 教授 (70260031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 かおり 富山大学, 理学部, 准教授 (80397166)
神代 暁 産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 超伝導計測デバイスグループ長 (60356962)
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Keywords | テラヘルツ / 絶対強度 / 圧力幅測定 / ギ酸メチル / 振動励起状態 / 分配関数 / 亜酸化窒素 |
Research Abstract |
平成22年度は研究最終年度であり、本研究により開発した発光スペクトルの絶対強度測定法の定量的評価を総合的に実施した。昨年度までに装置系の改良および標準試料を用いた二次的較正作業を併用し、積み上げ誤差として10%程度でスペクトル強度の議論が出来る見通しがついたが、さらなる改善を図るため標準試料の測定精度の検討を進めた。検討対象として亜酸化窒素を選び、較正用スペクトルの再現性について確認したところ、およそ3%程度のばらつきが発生することが分かった。亜酸化窒素のエネルギー準位はほぼ完全に明らかになっており、分配関数を計算する上での最大誤差要因はガスの測定温度である。我々の手法ではこれらを考慮しても1%以下で決定できることから、試料温度測定誤差以外の要因が主要なものであることが示唆された。昨年度に扱ったギ酸メチルのような分子で、低エネルギー領域でも準位構造がよくわかっていないため10%程度の誤差があっても量子準位に関する大枠の議論は可能である。しかし、我々が最終的に目指している、全ての準位構造・異性体を考慮した実効的分配関数に関する議論をする上では、誤差10%は受け入れがたい。これらの解決が今後の課題として残った。現時点までの検討で最も影響が大きい要素と考えているのは、分光用セルの窓板の変形である。テラヘルツ帯電磁波を効率よく透過させるため比較的薄いテフロンの板を窓板と使用しているため、数hPaの試料ガス封入条件では変形してしまう。これによるビームの伝搬経路がどう影響を受けるか検討している。尚、一連の研究成果は合衆国コロンバスで開催された国際会議棟で報告し、現在論文として投稿中である。
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