2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550025
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
谷口 吉弘 Ritsumeikan University, 生命科学部, 教授 (70066702)
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Keywords | インシュリン / アミロイド線維 / PLGA / 圧力 / FTIR分光法 / 活性化体積 |
Research Abstract |
インシュリン凝集体(アミロイド線維)の二次構造変化を高圧FTIR分光法により追跡した。その結果、インシュリン溶液(50mg/ml, 100mM NaCl, pH 1.6)を温度60℃、72時間の加熱で形成したアミロイド線維のIR吸収スペクトルは1619cm^<-1>付近と1628cm^<-1>に2つのピークを持つ特徴あるスペクトルを示した。1619cm^<-1>付近に観測されるピークはたんぱく質分子の分子間平行βシート構造に、1630cm^<-1>付近に観測されるピークは水和したαヘリックス構造と帰属した。 次にインシュリン溶液を、各圧力(0.1MPa, 30MPa, 110MPa, 290MPa)下、60℃で温置したときの1619cm^<-1>(分子間平行βシート構造に由来)のピークの経時変化を測定したところ、圧力の増加とともに、分子間平行βシート構造形成速度は遅くなった。290MPaの圧力においては、アミロイド線維の時間に対する形成曲線はシグモイド型を与え、アミロイド線維形成過程で中間体の存在が示唆された。また、アミロイド形成反応に及ぼす圧力効果は、圧力の増加(0.1MPa⇒290MPa)に伴い、アミロイド形成速度は抑制され、アミロイド線維形成に伴う活性化体積は+34ml/molであった。 ポリグルタミン酸(PLGA)のヘリックスーコイル転移に及ぼす圧力効果を水和ヘリックスに由来する1637cm^<-1>をFTIR法で測定した。その結果、PLGAのヘリックスーコイル転移に伴う体積変化は、+10.7cm^3/molを示し、高圧下ではヘリックス構造が安定であるとの興味ある結論を導いた。
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Research Products
(4 results)