2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型高分子のC-H・・・O水素結合がその結晶構造と熱的挙動に及ぼす影響
Project/Area Number |
20550026
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
尾崎 幸洋 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 教授 (00147290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 春実 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (10288558)
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Keywords | 水素結合 / 生分解性ポリマー / ラマン分光 / 赤外分光 / X線回折 |
Research Abstract |
本研究の目的は、赤外・ラマン分光法、量子化学計算、X線回折測定等を組み合わせて、生分解性高分子の結晶構造中に見られる弱い水素結合と高分子のラメラ構造との関係を明らかにすることにある。 具体的には(1)P(3HB)とP(3HB-co-3HHx)中のC-H…O水素結合の構造(C-H結合の長さ、H…Oの距離、C-H…O水素結合の強さ)を赤外ラマン分光法、X線回折法(小角散乱法を含む)、量子化学計算法を併せ用いて明らかにすること、(2)C-H…O水素結合が高分子の高次構造安定化に果たす役割、C-H…O水素結合とラメラ構造形成との関係、さらには高分子の熱的挙動、結晶化のメカニズムとC-H…O水素結合との関係を明らかにすることである。 P(3HB)とP(HB-co-3HHx)(3HHx=12mol%)の赤外、ラマンスペクトルの温度変化測定(室温から融点以上まで)を行い、得られたスペクトルのバンドの帰属を行った。温度変化測定から、結晶部分に起因するバンドとアモルファス部分に起因するバンドを明確に区別することができた。また、P(3HB)とP(HB-co-3HHx)(3HHx-12mol%)のスペクトルを比較することにより3HHxの存在により、アモルファス構造が増加し、PHBに比べるとかなり低い温度からC-H…O水素結合が切れやすくなり、結晶化度も少量の3HHxで劇的に小さくなることがわかった。X線回折パターンの温度変化測定からも結晶の崩れていく様子を捕らえることができた。量子化学計算では、P(3HB)のダイマーモデル化合物を用いて最安定構造を計算した。これにより分子間で互いにC-H…O水素結合を形成する構造がエネルギー的に最も安定であることが示された。今後は、より大きなモデル化合物を用いてC-H…O水素結合の研究を進めていく。
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Research Products
(15 results)