2008 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレンの光解離で生成する中性フラグメント散乱分布の状態選択的画像観測
Project/Area Number |
20550029
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
片柳 英樹 Institute for Molecular Science, 光分子科学研究領域, 助教 (00399312)
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / 化学物理 / 物性実験 / 可視化 / 反応動力学 |
Research Abstract |
フラーレン類の放射光による光分解の機構を明らかにすることを主眼として本研究を実施している。気相フラーレン類の解離性光イオン化で生成する中性C_2フラグメントの三次元散乱分布をパルスレーザー光源による多光子共鳴イオン化により画像観測することを目指す。これにより、従来のC_<56>^+のようなイオン性フラグメントの収量スペクトル測定では得ることが困難であった、遷移状態のポテンシャルエネルギー曲面の形状や励起状態の寄与など、光分解機構の詳細を明らかにできると考えている。 20年度は中性C_2フラグメント検出手法の確立に先立ち、本研究実施に不可欠の、フラーレンフラグメント画像観測装置の改良を行った。また、レーザー蒸発フラーレンビーム源開発のための定性的予備実験を行った。 従来用いていた画像観測装置は時間分解能を持たず、解離フラグメントは、強度の高い親分子ビームの裾野として僅かに観測されるのみであった。そこでポテンシャルスイッチ型質量選別器を開発し、気体試料(Kr、SF_6等)を用いて動作の確認および性能試験を行った。 また、石英基板に蒸着したフラーレン(C_<60>)薄膜に、大気中でNd:YAGレーザーの第二高調波を集光せずに照射し、基板からC_<60>が飛散する事を確認した。現在は、この実験を発展させ、レーザーの出力や集光条件、および試料の形状や支持機構について、本研究に適した方法を見出すことを試みている。 21年度は、上記の結果に基づき、真空中で使用する分子線源の設計と製作を行う予定である。20年度に開発した画像観測装置と組み合わせて、中性フラグメントの観測を試みる。
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Research Products
(6 results)