2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子スイッチへの展開を指向したフラーレン系インターロック化合物の創製
Project/Area Number |
20550031
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 洋介 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60261864)
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Keywords | フラーレン / ロタキサン / カテナン / ドナー-アクセプター相互作用 / 分子スイッチ / 超分子 / TTF / ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に得られた成果をふまえ、ドナー部位を有する軸化合物とアクセプター部位を有する環状化合物からなり、軸化合物の両末端にフラーレンを有するロタキサンの合成および物性検討をさらに推進した。合成においては、ロタキサンの収率の向上を目指した。ロタキサンの収率を向上させるには、軸化合物前駆体と環状化合物の間での錯形成(擬ロタキサン形成)の割合(会合定数)を大きくする必要があり、そのために次の2点を検討した。 (i)軸化合物のドナー部位として、昨年度用いた1,5-ジアルコキシナフタレンよりもドナー性の高いテトラチアフルバレン(TTF)を用いた。 (ii)環状化合物のアクセプター部位であるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(NpI)を連結する架橋部位として、より剛直な2,7-ナフチレンを用いた。 ロタキサンの合成に先立ち、擬ロタキサン形成について^1H NMRおよびUV-Visスペクトルにより検討したところ、今回、ドナー部位としてTTFを用いた場合は、先の1,5-ジアルコキシナフタレンを用いた場合とは対照的に、室温でも擬ロタキサンの形成が明確に認められ、より高い会合定数が得られた。 この結果をふまえて、TTF部位を有する軸化合物前駆体とカルボキシ基を有するフラーレン誘導体のエステル化反応を、上記のNpI部位を有する環状化合物の存在下で行ったところ、ロタキサンの合成に成功した。特に、剛直な2,7-ナフチレンで架橋された環状化合物を用いた場合は、収率が18%であり、これまでに当研究室で合成したフラーレン系ロタキサンの中で、最も高い収率となった。得られたロタキサンの構造は、^1H NMRスベクトル、質量分析、UV-Visスベクトル等により決定した。
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