2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体固定型トリフェニルホスフィンの開発と有機合成化学的展開
Project/Area Number |
20550033
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
東郷 秀雄 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (60217461)
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Keywords | イオン液体 / トリフェニルホスフィン / ハロゲン化反応 / 再生再利用 / 環境 |
Research Abstract |
本研究ではトリフェニルホスフィンが有機合成試剤の中で最も頻繁に利用されている試剤の一つであることに着目し、再利用あるいは再生再利用型トリフェニルホスフィンの開発を行いました。つまり、本研究の目的は、トリフェニルホスフィンの優れた化学的変換機能とイオン液体の機能を連結させたイオン液体固定型トリフェニルホスフィンを開発し、高極性反応場を兼ねた再利用型試剤あるいは触媒として種々の有機合成に活用することにあります。これにより、無溶媒で種々の有機合成が可能となるばかりでなく、反応の飛躍的簡易効率化ができるとともに、反応溶媒や精製溶媒などの廃棄物の劇的削減など、プロセス化学的視点からも大きな展望が開けます。初年度の今年は2種のイオン液体固定型トリフェニルホスフィンである臭化[4-(N-メチルピロリジニウムブトキシ)フェニル](ジフェニル)ホスフィン及び臭化[4-(N-メチルピロリジニウムメチル)フェニル](ジフェニル)ホスフィンの開発に成功し、種々の解析からその構造が確定された。前者は粘性の高いオイルで空気中の酸素に比較的敏感であり、数日でリン原子が5価に酸化されてしまうことが分かった。このことから、前者の商品化は不可能と判断し、後者の合成を進めた。後者は室温で結晶であり、空気に対しても比較的安定であることが分かった。後者と四臭化炭素によるアルコールの臭素化反応を検討した結果、目的の臭素化体を生成するとともに、反応混合物から臭素化体の分離精製が容易であることが分かった。今後、後者の試薬としての汎用性を検討するとともに、特許化も進める予定である。
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