2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体固定型トリフェニルホスフィンの開発と有機合成化学的展開
Project/Area Number |
20550033
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
東郷 秀雄 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (60217461)
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Keywords | イオンン液体 / トリフェニルホスフン / ハロゲン化反応 / 再利用 / エステル化反応 / Mizoroki-Heck反応 / Sonogashira反応 / イオン固定 |
Research Abstract |
本研究ではトリフェニルホスフィンが有機合成試剤の中で最も頻繁に利用されている試剤の一つであることに着目し、再利用あるいは再生再利用型トリフェニルホスフィンの開発を行いました。つまり、本研究の目的は、トリフェニルホスフィンの優れた化学的変換機能とイオン液体の機能を連結させたイオン液体固定型トリフェニルホスフィンを開発し、高極性反応場を兼ねた再利用型試剤あるいは触媒として、種々の有機合成に活用することにあります。これにより、無溶媒で種々の有機合成が可能となるばかりでなく、反応の飛躍的簡易効率化ができるとともに、反応溶媒や精製溶媒などの廃棄物の劇的削減など、プロセス化学的視点からも大きな展望が開けます。次年度の今年は2種の安定なイオン固定型トリフェニルホスフィンである臭化[4-(トリメチルアンモニウムメチル)フェニル](ジフェニル)ホスフィン及び臭化[4-(N-メチルピロリジニウムメチル)フェニル](ジフェニル)ホスフィンの開発に成功し、種々の解析からその構造を確定した。これらは,空気中で比較的安定であり、四臭化炭素によるアルコールの臭素化反応、カルボン酸のエステル化反応(光延反応)などの化学量論反応、及びパラジウム配位子としてMizoroki-Heck反応やSonogashira反応における触媒として、効率的に利用でき、イオン液体中では再利用型反応場として利用できることが判明した。これらの製品は特許を取得するとともに、薬品会社からの製品化にも成功した。今後は、より触媒機能の優れたイオン固定型トリフェニルホスフィンを開発する予定である。
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