2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550035
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中垣 良一 金沢大学, 薬学系, 教授 (20159057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福吉 修一 金沢大学, 薬学系, 助教 (10456410)
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Keywords | 可逆的着色現象 / ジニトロベンジル基 / ピリジン / ビピリジン / 1,10-フェナントロリン / 着色体 |
Research Abstract |
本年度は、ジニトロベンジルピリジン(DNP)誘導体として、ビピリジン骨格と1,10-フェナントロリン骨格をもつ化合物について可逆的着色現象(ホトクロミズム)が起こるかどうかの検討をおこなった。また、2,4-ジニトロベンジル基の他に、(2,4-ジニトロフェニル)エチル基を導入することにより、不斉炭素をもつ化合物についても光反応を検討した。 溶液中の光反応では、複素環をピリジン骨格から1,10-フェナントロリン骨格へと拡大することで、着色体の寿命が伸長する傾向が認められた。また、1,10-ヲェナントロリン骨格をもつ化合物においては、(2,4-ジニトロフェニル)エチル基を導入して不斉炭素が生じると、さらに寿命が延びるという現象がみられた。 フェナントロリン骨格をもつDNP誘導体の結晶が可逆的着色現象を起こすかどうかに関して、明確な判断基準は得られなかった。しかしながら、X線回折法により結晶構造および分子構造が解析できたので、出発物質の基底状態に関する構造情報(コンフォーメーション)が明確になった。1,10-フェナントロリン骨格と(2,4-ジニトロフェニル)エチル基をもつDNP誘導体では、結晶中で鏡像異性体同士が対をつくって存在していることがわかった。 溶液中の光反応について、塩基の添加により着色体の寿命が著しく短縮される現象が認められた。これは、着色体のピリジン窒素上の陽子が塩基によって引き抜かれるためであると考えられる。
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