2008 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-塩素結合切断を鍵とする高選択的有機合成反応の開発
Project/Area Number |
20550036
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西井 良典 Shinshu University, 繊維学部, 准教授 (40332259)
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Keywords | 炭素塩素結合 / クロロシクロプロパン / ジクロロシクロプロパン / α-クロロエステル / 高位置選択的 / 高立体選択的 / Reformatsky反応 / アシル化 |
Research Abstract |
1) ジクロロシクロプロパンの高立体選択的C-Cl結合変換反応の開発 ジクロロシクロプロパンの高立体選択的ラジカル的アシル化反応すなわち、1段階目のC-Cl結合のアシル化反応(Org. Lett. 2007, 9, 563.)により得られる1-クロロシクロプロパンカルボン酸エステルのSmI_2によるReformatsky型C-C結合形成反応を見いだした(Org. Lett. 2008, 10, 5453.)。すなわち、ジクロロシクロプロパンの2つのC-C1結合の高立体選択的なC-C結合への変換反応を達成することができた。C-Cl結合はC-Br結合に比べ切断しにくく、ジクロロシクロプロパンのジクロロ炭素上の高立体選択的C-C結合変換は殆ど報告されていない点で、学術的にも非常に重要な成果である。有機合成化学的手法を用いて反応機構も詳細に解明しつつある。 2) α-クロロエステルのReformatsky型C-C結合形成反応 研究代表者はα-ブロモエステルのSmI_2による分子内Reformatsky型環化を鍵反応とするテオペデリンの最初の全合成を達成したが、これらの知見をさらに発展させ、α-クロロエステルの分子間Reformatsky型C-C結合形成反応を検討した。1)の2段階目の反応は、シクロプロパン環上の歪んだsp^3炭素のReformatsky型C-C結合形成反応と言えるが、得られた知見を一般的なsp^3炭素上へ展開したところ、銅触媒を用いることで立体的に込み合った系で収率が向上することが分かった。従来法では合成できなかった有機化合物を効率的に合成できることを示した。
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Research Products
(6 results)