2010 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-塩素結合切断を鍵とする高選択的有機合成反応の開発
Project/Area Number |
20550036
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西井 良典 信州大学, 繊維学部, 准教授 (40332259)
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Keywords | ナフレンリグナン / ジヒドロナフタレン / 環拡大反応 / ベンズアヌレーション / シクロプロパン / 炭素-塩素結合切断 / procumphthalide A / Cyclogalgravin |
Research Abstract |
1) 軸不斉天然物 procumphthalide Aの全合成と構造の改訂 aryl(aryl^1)-2,2-dichlorocyclopropylmethanol の高位置選択的ベンズアヌレーションを鍵反応とする6'-methoxyretrojusticidin B (1) (procumphthalide A として報告された構造^1)の全合成を達成した。合成した6'-methoxyretrojusticidin B の ^1H-NMR と procumphthalide A の ^1H-NMR を比較すると著しく異なることが分かった。6'-methoxyretrojusticidin B の 10H 及び 7'Hはジェミナルカップリングをしている点からも非対称で、6'-methoxyretrojusticidin B には軸不斉が存在し、また、B3LYP/6-31G(d)レベルでの計算結果からも、28.4kcal/molの回転障壁があり.常温で軸不斉が存在することをが分かった。スペクトルの詳細な検討の結果、procumphthalide Aの真の構造は、報告されていた6'-methoxyretrojusticidin Bではなく、5'-methoxyretrochinensin(以前に我々のグループでも合成した化合物)であることを解明した。 2)シクロプロパンの高位置選択的開裂-環拡大反応を鍵とするジヒドロナフタレンリグナンラクトン天然物の全合成 Sc(OTf)_3を用いることによりエステル官能甚を有するシクロプロパンカルボン酸エステルの環拡大反応が進行し、ジヒドロナフタレンを高収率で与えることを見いだした(Chem.Lett.2010,39,194-195.open access article.)この反応を鍵反応として不斉転写を含むジヒドロナフタレンリグナンラクトンの全合成を検討し、3,4-ジメトキシベンズアルデヒドを出発原料とし、シクロプロパンカルボン酸メチルエステルのジヒドロナフタレンへの変換を鍵段階とすることで、8段階、全収率20%での1ーアリール-1,2-ジヒドロナフタレン系天然物Cyclogalgravinの新規全合成を達成した。さらに、同様の反応を利用するTrilobatin Aおよび Bのジヒドロナフタレンセグメント合成を達成した(投稿準備中)。
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Research Products
(4 results)