2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550037
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野 克彦 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20335079)
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Keywords | 有機導体 / 半導体物性 / 構造・機能材料 / 先端機能デバイス / 環境技術 |
Research Abstract |
有機トランジスタの開発において、ペンタセン前駆体の合成研究が注目されている。これは、塗布型半導体による溶液プロセスの開発がこの分野で求められているからである。これまでの調査において、6,13-ジチエニルペンタセン(1)は太陽光存在下で溶存酸素と光反応を起こし、1:1酸素付加体2が定量的(単離収率81%)に生成した。また、この酸素付加体2の薄膜にUV光(波長254nm,15W×6)を照射すると脱酸素反応が進行して、ペンタセン1が再生した。ペンタセン1では真空蒸着プロセスで良好な半導体移動度(0.1cm^2 V^<-1> s^<-1>)が報告されている。そこで、この脱酸素反応が効率的に進行する分子システムを開発できれば、環境に調和した溶液プロセスを構築できる。これまで行ってきたペンタセン1の確認法は、薄膜状態で変換反応を行った物質を溶媒に溶かし、溶液状態でUV-visスペクトルを測定するものであった。しかし、この方法には変換率が求められない課題があった。本年度は脱酸素反応2→1の変換率を調査した。反応条件を設定するため、石英セル内に酸素付加体2の塗布薄膜を作製し、大気中でUVランプ(波長254nm,610μWcm^<-2>)を照射した。時間経過を追跡した結果、開始後10分以内にペンタセン1が再生した。また、照射時間をそれ以上長くしてもUV-visスペクトルはほとんど変化しないことを確認した。1と2の混合物について検量線を作成して変換率を求めた。この結果、溶液中の変換率(44%)と比べて薄膜での値は低いことが示唆された。このため、薄膜での変換反応についてUV光照射条件を改良する必要性が明らかになった。
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