2008 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応性および電子構造理論から見た新規な複素環芳香族陽イオンの特徴
Project/Area Number |
20550044
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐竹 恭介 Okayama University, アドミッションセンター, 教授 (50033387)
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Keywords | アザトロピリウムイオン / 2H-アゼピン / 3H-アゼピン / 臭素化 / 非経験的分子軌道計算 / ab-initio計算 / 芳香族性 / 芳香族陽イオン |
Research Abstract |
2H-アゼピン類の合成 シクロヘプタトリエンと臭素との反応でトロピリウムが生成するが,3H-アゼピン誘導体と臭素の反応では同様な反応は起こらないことを明らかκした。反応混合物をメタノールで処理すると,50%程度の収率で2-メトキシ-2H-アゼピン誘導体を得る。 この反応を詳細に検討したところ,3H-アゼピンは臭素と位置選択的な1,4-付加反応をし,脱HBrにより2-ブロモ-2H-アゼピンを与えることがわかった。炭化水素の場合にはこのようなプロミドがイオン種として単離されるにもかかわらず,アゼピンにおいては共有結合性化合物として存在しアゼピニウムの寄与が皆無であるという興味深い結果となった。求電子試薬としてNBSを用いると1,4-付加体が定量的に生成し,2H-アゼピン誘導体を定量的に得ることがわかったので種々の2H-アゼピン誘導体の合成を行った。 ここで見出された,NBSの共役ポリエン系への求電子的1,4-付加は新規反応である。NBSは主としてラジカル的臭素化試薬として広く用いられているが,NBSの新しい反応として興味深い。 この合成過程を拡張し種々の置換基を持った2H-アゼピン誘導体を合成し,アザトロピリウムイオンに導いた。またアザトロピリウムイオンの電子構造を明らかにするため,非経験的分子軌道計算を行い,分子構造および共鳴エネルギーに関する知見を得た。
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Research Products
(4 results)